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グリセロール3-リン酸がmTORC1のGATOR2依存性制御を通じて脂質代謝を活性化する
Glycerol 3-phosphate activates lipid metabolism through GATOR2-dependent regulation of mTORC1

SCIENCE SIGNALING
14 Jul 2026 Vol 19, Issue 946
DOI: 10.1126/scisignal.aeb7989
Hyokjoon Kwon1, Sayaka Yamada1, Lingqiong Meng1, Mijung Kwon1, Huiting Xu2, Jinhua Chi3, Sally Radovick4, Haiwei Gu3, Ling He1, Fredric E. Wondisford1, *
- 1 Department of Internal Medicine, University of Arizona College of Medicine-Phoenix, Phoenix, AZ 85004, USA.
- 2 AskPharma, Princeton, NJ 08540, USA.
- 3 College of Health Solutions, Arizona State University, Phoenix, AZ 85004, USA.
- 4 Clinical and Translational Research Institute, University of Arizona Health Sciences, Tucson, AZ 85704, USA.
- * Corresponding author. Email: fwondisford@arizona.edu
Editor’s summary
脂肪肝と呼ばれる病的状態である肝臓への過剰な脂質の蓄積は、トリグリセリドの過剰産生によって生じる可能性がある。Kwonらは、肝細胞およびマウス肝において、グリセロール3-リン酸(G3P)がトリグリセリドに取り込まれるのみならず、栄養センシング複合体であるmTORC1によるde novoの脂質合成(糖質からトリグリセリドを合成するプロセス)も刺激することを見いだした。G3Pは主として、肝細胞でグリセロールキナーゼ(GK)がグリセロールに作用することにより産生された。このグリセロールの循環血中量は肥満で増加している。マウスにおける肝細胞特異的なGKの欠損は、トリグリセリドの合成と貯蔵を減少させるのみならず、肝臓におけるde novoの脂質合成も低下させた。これらの結果から、脂肪肝に寄与する可能性がある、肝臓内のmTORC1活性化の鍵となるシグナルが明らかとなった。—Wei Wong
要約
トリグリセリドは、グリセロール3-リン酸(G3P)の脂肪酸エステル化と、de novoの脂質合成(DNL)によって生成される可能性がある。われわれは、肝臓内のDNLを促進する栄養センシングタンパク質複合体であるmTORC1を活性化する1つの刺激として、G3Pを同定した。さらにわれわれは、初代培養マウス肝細胞におけるG3Pの主要な供給源は、グリセロールからG3Pを産生するグリセロールキナーゼ(GK)であることを見いだした。肝特異的GK欠損を有するマウスでは、肝臓のトリグリセリド産生と蓄積が減少しているのみならず、mTORC1依存性のDNLも低下していた。肝細胞におけるG3P代謝経路を逐次的に遮断し、グリセロールリン酸脱水素酵素(G3Pを供給する代替酵素)を欠損する肝細胞およびマウスの解析から、mTORC1活性化はG3P量と正の相関をもつこと、また、G3P前駆物質またはその他のグリセロール代謝を介していないことが示された。グリセロールで処理した細胞において野生型GKにより生成されたG3Pは、アミノ酸応答においてもmTORC1を活性化する複合体であるGATOR2を介してmTORC1の活性化を誘導していた。一方で、GK欠損で認められる不活性化突然変異を有するGKは、グリセロールに応答したmTORC1の活性化を誘導しなかった。これらの結果から、G3Pは、エステル化に必要な基質の生成を調整することで、mTORC1の活性化を通じて肝臓のDNLを刺激することが示された。肥満では、グリセロール濃度の増加とGKを介する代謝の亢進が肝TGの蓄積を誘導し、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患に寄与している。
2026年7月14日号






