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細胞生物学
炎症性ミトコンドリア

Cell Biology
Inflammatory Mitochondria

Editor's Choice

Sci. Signal., 18 January 2011
Vol. 4, Issue 156, p. ec15
[DOI: 10.1126/scisignal.4156ec15]

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

NLRP3インフラマソームが病原体および危険に関連する分子パターンを検出すると、プロテアーゼであるカスパーゼ1が活性化され、活性化されたカスパーゼ1はサイトカインであるインターロイキン1β(interleukin-1β:IL-1β)を活性型へとプロセシングする。NLRP3インフラマソームは活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)によって活性化されると提唱されているが、ROSの発生源は同定されていない。ミトコンドリアの呼吸酵素の遮断はROSの産生につながる可能性があり、Zhouらは、複合体IまたはIIIに対する阻害薬による処理後にはヒトTHP1マクロファージ細胞によるIL-1βの分泌が増加するが、複合体IIに対する阻害薬による処理後には増加しないことを見出した。この作用は、NLRP3またはカスパーゼ1に対する低分子ヘアピン型RNA(short hairpin RNA:shRNA)を形質移入されたTHP1細胞またはNlrp3-/-マウス骨髄由来のマクロファージではみられなかった。ROSを産生するミトコンドリアなど、損傷を受けたミトコンドリアはマイトファジー(ミトコンドリアに特異的なオートファジー)によって除去される。THP1細胞においてマイトファジーを阻害すると、3-メチルアデニン処理による場合も、オートファジーの構成要素であるベクリン1およびATG5をshRNAでノックダウンした場合も、損傷を受けたミトコンドリアの蓄積が誘発され、IL-1βの分泌が増大した。さまざまな刺激によってインフラマソームを活性化すると、NLRP3のサイトゾルから核周囲空間への再配置と、小胞体に対するマーカーおよびミトコンドリアに対するマーカーとの共局在および共分画が誘導される。ミトコンドリアにおいて産生されたROSをサイトゾルに放出するためには電位依存性アニオンチャネル(voltage-dependent anion channel:VDAC)が必要であり、VDAC1欠損THP1細胞ではカスパーゼ1の活性化とIL-1βの分泌が減少した。VDACはBaxを介するアポトーシスの誘導においてすでに確立された役割を果たしていることから、著者らは、VDACの活性化が炎症性イベントまたはアポトーシスイベントのいずれを開始するかを決定する機構を解明することが重要になると指摘する。

R. Zhou, A. S. Yazdi, P. Menu, J. Tschopp, A role for mitochondria in NLRP3 inflammasome activation.Nature 469, 221-225 (2011). [PubMed] 

W. Wong, Inflammatory Mitochondria. Sci. Signal. 4, ec15 (2011).

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2011年1月18日号

Editor's Choice

細胞生物学
炎症性ミトコンドリア

Research Article

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Perspectives

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