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エンドソームのダイナミクス
酸性検査

Endosomal Dynamics
Acid Test

Editor's Choice

Sci. Signal., 16 August 2011
Vol. 4, Issue 186, p. ec224
[DOI: 10.1126/scisignal.4186ec224]

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

 

神経栄養因子受容体のTrkAは、神経成長因子(NGF)および神経栄養因子3(NT3)と結合して、軸索伸長を活性化する。しかし、細胞体まで逆行輸送されてニューロンの生存を促進するTrkA含有シグナル伝達エンドソームの形成を誘発するのはNGFだけである。Harringtonらは、ジャスプラキノリドによってマウス交感神経ニューロンにおいてアクチン細胞骨格を安定化すると、TrkAエンドソームの逆行輸送が阻害されることを見いだした。このことは、この過程におけるアクチン脱重合の必要性を示唆する。TrkAに会合しているるアクチンフィラメント切断タンパク質コフィリンの量は、NGF処理ニューロンから単離したものの方がNT3処理ニューロンから単離したものに比べて多かった。さらに、コフィリンは、NGF処理ニューロンの方がNT3処理ニューロンに比べて、TrkAエンドソームとより多く共局在していた。コフィリンに対するshRNAを発現するNGF処理ニューロンでは、TrkAエンドソームの逆行輸送は障害された。この効果は、アクチン脱重合薬のラトランクリンAの適用によってかなりレスキューされた。また、コフィリンの活性化を促進することのできるGTPaseのRac1は、NGF処理ニューロンの方がNT3処理ニューロンに比べてより多く活性化され、より多くTrkAエンドソームに結合していた。ドミナント・ネガティブ型Rac1の発現によって、TrkAエンドソームの逆行輸送とNGF処理ニューロンにおけるコフィリンとの共局在が妨げられた。一方、恒常的活性型Rac1の発現によって、NT3処理ニューロンにおけるTrkAエンドソームの逆行輸送と存シグナル伝達が可能になった。PC12細胞上のTrkAとのNT3の結合能は、培地が酸性の場合には低下し、NT3処理ニューロンにおけるエンドソームの酸性化を妨げるような操作によって、TrkAエンドソームの逆行輸送、コフィリンとTrkAエンドソームの共局在、およびRac1の活性化が起こった。このように、NT3とは異なって、NGFは酸性条件下でTrkAと安定な複合体を形成するので、生存シグナル伝達を促進することができる。このような特性によって、このNGFはエンドソームにおけるTrkA依存性シグナル伝達、アクチン構成タンパク質の動員、およびTrkAエンドソームの逆行輸送を誘導することができる。

A. W. Harrington, C. St. Hillaire, L. S. Zweifel, N. O. Glebova, P. Philippidou, S. Halegoua, D. D. Ginty, Recruitment of actin modifiers to TrkA endosomes governs retrograde NGF signaling and survival.Cell 146, 421-434 (2011). [PubMed]

W. Wong, Acid Test. Sci. Signal. 4, ec224 (2011).

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2011年8月16日号

Editor's Choice

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酸性検査

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