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微生物学
鉄ホメオスタシスにおける1つで2つの役割

Microbiology
Two for One in Iron Homeostasis

Editor's Choice

Sci. Signal., 3 July 2012
Vol. 5, Issue 231, p. ec178
[DOI: 10.1126/scisignal.2003356]

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

C. C. Thompson, S. S. Nicod, D. S. Malcolm, S. S. Grieshaber, R. A. Carabeo, Cleavage of a putative metal permease in Chlamydia trachomatis yields an iron-dependent transcriptional repressor. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109, 10546-10551 (2012). [Abstract] [Full Text]

Chlamydia trachomatisは一般的な性感染症および失明を引き起こす。ytgABCDオペロンは、この細菌における鉄ホメオスタシスの調節に関与するタンパク質をコードする。特に、YtgCRは2つの明確な機能ドメインを有するタンパク質である。そのN末端ドメインは膜貫通金属透過酵素として機能し(YtgCと呼ばれる)、C末端ドメインは金属依存転写リプレッサーと相同である(YtgRと呼ばれる)。Thompsonらは、この膜結合型転写リプレッサーが感染時に切断され、ytgオペロンにおいて鉄誘導性リプレッサー活性を示すことによって、鉄ホメオスタシスの転写調節において機能することを明らかにした。バイオインフォマティクス解析および分子モデリングによって、YtgRは保存された鉄配位残基を有しており、他の既知の鉄調節リプレッサーと同様のDNA結合および二量化構造をとることが示された。大腸菌Escherichia coliで産生した組換えYtgRを用いたin vitroでのDNA結合アッセイにおいて、YtgRは鉄誘導性のDNA結合を示した。哺乳類細胞がC. trachomatisによる感染を受けると、YtgCR特異的抗体と反応する2つのバンド(全長バンド1本およびより小さいバンド)が出現した。これは感染時に生じる切断と一致している。C末端の切断産物は大腸菌に発現させたYtgCRでも検出された。YtgCRまたはYtgRをコードするプラスミドをytgプロモーターによって制御されるレポーター遺伝子とともに大腸菌に導入すると、初めに全長タンパク質の一部として発現していた場合でも機能リプレッサーを産生することが確認された。このように、YtgCRは二機能タンパク質であり、切断されて鉄の膜輸送を制御するタンパク質と鉄ホメオスタシスの維持に必要な転写応答を制御する別のタンパク質を産生する。

N. R. Gough, Two for One in Iron Homeostasis. Sci. Signal. 5, ec178 (2012).

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2012年7月3日号

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