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プロコアグラント活性を誘導するCa2+応答における血小板TRPCチャネルの役割

A Role for Platelet TRPC Channels in the Ca2+ Response That Induces Procoagulant Activity

Perspectives

Sci. Signal., 25 June 2013
Vol. 6, Issue 281, p. pe23
[DOI: 10.1126/scisignal.2004399]

Martyn P. Mahaut-Smith

Department of Cell Physiology and Pharmacology, University of Leicester, Leicester LE1 9HN, UK.

Corresponding author. E-mail: mpms1@le.ac.uk

要約:血管が損傷すると、コラーゲンおよびその他のアゴニストによって血小板が急速に活性化され、接着、凝集し、血液の喪失を防ぐ。また、血小板表面のホスファチジルセリン(PS)露出は凝固経路によるトロンビン生成を加速化する。トロンビンは強力な血小板アゴニストで、フィブリノーゲンをフィブリンに変換することにより、血小板血栓を安定化する。止血および血栓形成中のPS露出は細胞質Ca2+の持続的増加によって生じるが、その基礎となるCa2+動員経路についてはいまだ不明である。ストア作動性Orai1チャネルは、イノシトール三リン酸依存性放出後の大量の持続的Ca2+流入を誘発し、アノクタミン6(TMEM16F)はPSを露出させるスクランブラーゼ活性に加え、Ca2+活性化Ca2+透過性チャネルとして作動すると考えられる。最新の研究では、一過性受容器電位(TRP)非選択的カチオンチャネルTRPC3およびTRPC6の同時活性化よって生じるNa+流入、およびその後のNa+/Ca2+交換体の反転モード作動が、特に複合的なトロンビンおよびコラーゲンによる活性化時にPS露出を導く細胞質Ca2+増加に重要なメカニズムであることを示している。

M. P. Mahaut-Smith, A Role for Platelet TRPC Channels in the Ca2+ Response That Induces Procoagulant Activity. Sci. Signal. 6, pe23 (2013).

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