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一過性受容体電位チャネルはホスファチジルセリン露出を媒介するシグナル同時検出器として働く

Transient Receptor Potential Channels Function as a Coincidence Signal Detector Mediating Phosphatidylserine Exposure

Research Article

Sci. Signal., 25 June 2013
Vol. 6, Issue 281, p. ra50
[DOI: 10.1126/scisignal.2003701]

Matthew T. Harper1*, Juan E. Camacho Londoño2,3, Kathryn Quick4, Julia Camacho Londoño3, Veit Flockerzi3, Stephan E. Philipp3, Lutz Birnbaumer5, Marc Freichel2,3, and Alastair W. Poole1*

1 School of Physiology and Pharmacology, University of Bristol, Bristol BS8 1TD, UK.
2 Institute of Pharmacology, Heidelberg University, Im Neuenheimer Feld 366, Heidelberg D-69120, Germany.
3 Department of Experimental and Clinical Pharmacology and Toxicology, Faculty of Medicine, Saarland University, Homburg D-66424, Germany.
4 Molecular Nociception Group, Wolfson Institute for Biomedical Research, University College London, London WC1E 6BT, UK.
5 Transmembrane Signaling Group, National Institutes of Health, Research Triangle Park, NC 27709, USA.

* Corresponding author. E-mail: m.harper@bris.ac.uk (M.T.H.); a.poole@bris.ac.uk (A.W.P.)

要約:血液の血小板凝集は、損傷部位の凝血を促すが、不適当に血管を塞ぐことがないよう厳密に制御しなければならない。Gq共役プロテアーゼ活性化受容体を切断し活性化するトロンビンと、受容体糖タンパク質VIを活性化するコラーゲン関連ペプチドは、血小板が凝集し血栓をつくるのを刺激する。この2つのアゴニストによる同時活性化は協同し、多くの細胞種において細胞死のマーカーである細胞表面ヘのホスファチジルセリン露出を導く。ホスファチジルセリン露出はまた、血小板表面にさらなるトロンビンを提示するのに必須であり、血栓症に寄与する。われわれは、トロンビン受容体あるいは糖タンパク質VIどちらか一方の活性化だけで、主にストア作動性カルシウム流入にのみ依存するカルシウムシグナルを生じることを見いだした。対照的に、ノックアウトマウス由来の血小板を用いた実験では、両方のリガンドの存在が一過性受容体電位C(TRPC)の非選択的陽イオンチャネルファミリーであるTRPC3およびTRPC6を活性化することを示した。これらのチャネルは主にNa+の流入を可能にし、反転モードNa+/Ca2+交換と共役しカルシウム流入させることで、Ca2+シグナル伝達とホスファチジルセリン露出に寄与する。このように、TRPCチャネルは、細胞の複数のシグナルへの応答を調和する同時検出器として働き、血小板において、細胞内カルシウム濃度上昇と血栓形成促進性のホスファチジルセリン露出を間接的に媒介する。

M. T. Harper, J. E. C. Londoño, K. Quick, J. C. Londoño, V. Flockerzi, S. E. Philipp, L. Birnbaumer, M. Freichel, A. W. Poole, Transient Receptor Potential Channels Function as a Coincidence Signal Detector Mediating Phosphatidylserine Exposure. Sci. Signal. 6, ra50 (2013).

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