• ホーム
  • STIMとOraiによるカルシウムシグナル伝達:密接な共役の詳細が明かされる

STIMとOraiによるカルシウムシグナル伝達:密接な共役の詳細が明かされる

Calcium Signaling by STIM and Orai: Intimate Coupling Details Revealed

Perspectives

Sci. Signal., 16 November 2010
Vol. 3, Issue 148, p. pe42
[DOI: 10.1126/scisignal.3148pe42]

Youjun Wang, Xiaoxiang Deng, and Donald L. Gill*

Department of Biochemistry, Temple University School of Medicine, 3400 North Broad Street, Philadelphia, PA 19140, USA.

* Corresponding author. E-mail, dgill@temple.edu

要約:最近同定された2つのタンパク質ファミリーSTIM(間質相互作用分子)とOrai は、極めて動的な相互作用によって細胞内のCa2+シグナルを仲介する。STIMタンパク質は、小胞体(ER)内に貯蔵されているCa2+のセンサーであ る。Oraiタンパク質は、選択性の高い細胞膜(PM)チャネルであり、Ca2+のみを細胞内に流入させる。これら2つのタンパク質は、異なる膜に存在す るにもかかわらず、大きな再構成を起こして、最終的にERとPMの小さな接合部内でみごとなパ・ド・ドゥをなし遂げる。これらのタンパク質が絡み合う前 に、STIMはCa2+ストアの枯渇によって誘発される活性化を受ける。STIMは、Oraiとの結合時にOrai内のチャネル孔を開口させて、Ca2+ イオンがPMを通って流入し、きわめて重要な細胞内シグナルを供給できるようにする。STIMの活性化とそのOraiとの結合に関する最近の研究によっ て、これら2つのタンパク質間に生じる連絡の特性と、Ca2+シグナルの活性化が起こる複雑な機構について、価値ある新たな知見が得られている。

Y. Wang, X. Deng, D. L. Gill, Calcium Signaling by STIM and Orai: Intimate Coupling Details Revealed. Sci. Signal. 3, pe42 (2010).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2010年11月16日号

Editor's Choice

微生物学
ハトの糞が健康に良くない理由

Research Article

STIM1-Orai1の活性化には分子内スイッチ機構が関わる

TNF-TNFR2複合体の構造の解明

Perspectives

STIMとOraiによるカルシウムシグナル伝達:密接な共役の詳細が明かされる

Frizzledシグナル伝達: GaoとRab5が標準的経路とPCP経路の岐路に?

最新のPerspectives記事

2017年7月4日号

発見から25年強が過ぎたAKTに関する展望

2016年10月18日号

WNKキナーゼに固有の構造的特徴を活用して治療的阻害を達成する

2016年4月26日号

Ca2+透過性AMPA受容体、キナーゼPKAおよびホスファターゼPP2BはシナプスのLTPおよびLTDにおいてどのような結び付きがあるか

2016年4月5日号

IP3受容体:4つのIP3でチャネルを開く

2015年11月3日号

発がん性PI3Kαが乳房上皮細胞の多能性を促進する