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STIM1-Orai1の活性化には分子内スイッチ機構が関わる

Activation of STIM1-Orai1 Involves an Intramolecular Switching Mechanism

Research Article

Sci. Signal., 16 November 2010
Vol. 3, Issue 148, p. ra82
[DOI: 10.1126/scisignal.2001122]

Marek K. Korzeniowski1, Isabel Martin Manjarr?s2, Peter Varnai3, and Tamas Balla1*

1 Section on Molecular Signal Transduction, Program for Developmental Neuroscience, National Institute of Child Health and Human Development, Bethesda, MD 20892, USA.
2 Instituto de Biologia y Genetica Molecular, University of Valladolid-Consejo Superior de Investigaciones Cientificas, C/Sanz y Fores s/n, 47003 Valladolid, Spain.
3 Department of Physiology, Faculty of Medicine, Semmelweis University, 1094 Budapest, Hungary.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: ballat@mail.nih.gov

要約:Stromal interaction molecule 1(STIM1)は小胞体内腔のカルシウムイオン(Ca2+)濃度の低下に応答して、細胞膜のOrai1チャネルを介するCa2+流入を促進する。われわれは、STIM1のコイルドコイル領域内に、そのCa2+活性化ドメイン[Ca2+放出活性化Ca2+(CRAC) 活性化ドメイン/STIM1-Orai活性化領域(CAD/SOAR)]―Orai1の活性化に必要な細胞質領域―を不活性に維持する酸性モチーフを特定 した。このSTIM1酸性モチーフの配列は、(STIM1との相互作用部位と想定されている)Orai1のC末端コイルドコイルのセグメントの配列にきわ めて類似していた。この酸性領域内で突然変異を生じさせると、STIM1は構成的に活性化されたのに対して、CAD/SOARの短い塩基性セグメント内で 突然変異を生じさせると、Orai1の活性化が抑制された。そこでわれわれは、STIM1活性化の際にCAD/SOARドメインが分子内クランプから解放 され、それによって塩基性セグメントがOrai1を活性化できるようになるという考えを提案する。このように進化的に保存されたSTIM1の活性化機構 は、偽基質結合を介する分子内サイレンシングによるプロテインキナーゼの調節と類似している。

M. K. Korzeniowski, I. M. Manjarr?s, P. Varnai, T. Balla, Activation of STIM1-Orai1 Involves an Intramolecular Switching Mechanism. Sci. Signal. 3, ra82 (2010).

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