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Notchと制御性T細胞の生存:位置がすべて

Notch and the Survival of Regulatory T Cells: Location Is Everything!

Perspectives

Sci. Signal., 24 July 2012
Vol. 5, Issue 234, p. pe31
[DOI: 10.1126/scisignal.2003358]

Lisa M. Minter1,2 and Barbara A. Osborne1*

1 Department of Veterinary and Animal Sciences, Program in Molecular and Cellular Biology, University of Massachusetts, Amherst, MA 01003, USA.
2 Department of Biomedical Sciences, University of Illinois College of Medicine, Rockford, IL 61107, USA.

* Corresponding author. E-mail: osborne@vasci.umass.edu

要約:T細胞受容体を介するシグナル伝達は、Tリンパ球に分裂、分化を誘導し、数多くのエフェクター機能を実行させる。エフェクターT細胞は、ひとたび活性化されると、利用可能なサイトカイン、特に生存サイトカインであるインターロイキン-2(IL-2)の変化に極めて高い感受性を示す。IL-2を除去すると、サイトカイン除去に応答して、アポトーシスが迅速に開始される。エフェクターT細胞とは対照的に、制御性T細胞(Tregs)は、サイトカイン除去によって誘発されるアポトーシスに対して抵抗性がある。これら2つのT細胞サブセットの間の違いについて探索する研究から、Tregsをアポトーシスから保護するNotch1の役割が明らかになった。サイトカイン除去によって誘発されるアポトーシスからの保護は、TregsのサイトゾルにおけるNotch1の局在化ならびにホスファチジルイノシトール3-キナーゼおよび哺乳類のラパマイシン標的タンパク質複合体の構成要素Rictorとの会合と相関していた。一方、エフェクターT細胞におけるNotch1の核局在化は、サイトカイン除去によって誘発されるアポトーシスに対する感受性と相関していた。この研究によって、Notch1が異なる細胞状況において相反するシグナルをどのようにして伝達することができるかが浮き彫りになる。また、Notch1の局在化が、Tリンパ球における生死の決定にかなりの影響を及ぼしうることが示唆される。

L. M. Minter, B. A. Osborne, Notch and the Survival of Regulatory T Cells: Location Is Everything! Sci. Signal. 5, pe31 (2012).

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