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小胞体ストレスは、GSK-3βを介したRictorのリン酸化を通して、mTORC2およびAktシグナル伝達を阻害する

ER Stress Inhibits mTORC2 and Akt Signaling Through GSK-3β-Mediated Phosphorylation of Rictor

Research Article

Sci. Signal., 22 February 2011
Vol. 4, Issue 161, p. ra10
[DOI: 10.1126/scisignal.2001731]

Chien-Hung Chen1,2, Tattym Shaikenov1, Timothy R. Peterson3,4, Rakhan Aimbetov1,5, Amangeldy K. Bissenbaev5, Szu-Wei Lee1,2, Juan Wu1, Hui-Kuan Lin1,2, and Dos D. Sarbassov1,2*

1 Department of Molecular and Cellular Oncology, University of Texas MD Anderson Cancer Center, Houston, TX 77030, USA.
2 The University of Texas Graduate School of Biomedical Sciences at Houston, Houston, TX 77030, USA.
3 Whitehead Institute for Biomedical Research, Cambridge, MA 02142, USA.
4 Howard Hughes Medical Institute, Department of Biology, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA 02142, USA.
5 Department of Genetics and Molecular Biology, Al-Farabi Kazakh National University, Almaty 050038, Kazakhstan.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: dsarbass@mdanderson.org

要約:環境刺激に応答して、細胞は、同化経路と異化経路のバランスを調整する。真核生物では、成長因子が同化過程を促進し、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)-Akt経路の活性化を通して、細胞の成長、増殖、および生存を刺激する。Aktによるグリコーゲンシンターゼキナーゼ-3β(GSK-3β)のリン酸化は、その酵素活性を阻害することで、グリコーゲン合成を促進する。今回われわれは、GSK-3β自体が、Aktの主要な活性化キナーゼである哺乳類ラパマイシン標的タンパク質複合体2(mTORC2)を制御することで、Aktを阻害することを示す。細胞ストレス誘導時に、GSK-3βは、mTORC2構成要素rictorのセリン-1235をリン酸化し、この修飾により、AktのmTORC2への結合が阻害されることを見いだした。mTORC2-Aktシグナル伝達および細胞増殖に対するGSK-3βの阻害作用は、セリン-1235でのrictorのリン酸化を遮断することで消失した。このように、細胞ストレスに反応して、GSK-3βは、rictorを特異的にリン酸化することで、mTORC2-Aktシグナル伝達を抑制し、それにより、グルコース代謝において相反する役割を担うGSK-3βとAktの活性のバランスを保っている。

C.-H. Chen, T. Shaikenov, T. R. Peterson, R. Aimbetov, A. K. Bissenbaev, S.-W. Lee, J. Wu, H.-K. Lin, D. D. Sarbassov, ER Stress Inhibits mTORC2 and Akt Signaling Through GSK-3β-Mediated Phosphorylation of Rictor. Sci. Signal. 4, ra10 (2011).

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2011年2月22日号

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