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オートファジーからの逆行性シグナル伝達がストレス応答を調節する

Retrograde signaling from autophagy modulates stress responses

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Sci. Signal. 28 Feb 2017:
Vol. 10, Issue 468,
DOI: 10.1126/scisignal.aag2791

Hans-Uwe Simon1,*, Robert Friis1, Stephen W. G. Tait2, and Kevin M. Ryan2

1 Institute of Pharmacology, University of Bern, 3010 Bern, Switzerland.
2 Cancer Research U.K. Beatson Institute, Glasgow G61 1BD, U.K.

* Corresponding author. Email: hus@pki.unibe.ch

要約

マクロオートファジーは、細胞質成分(まるごとの細胞小器官を含む)をリソソーム内でまるごと分解する過程である。基本的に、この過程は恒常性の維持に不可欠であり、大部分の細胞で恒常的に機能しているが、ストレス応答の一環としても実行される。本稿では、オートファジータンパク質が、p53、FOXO、MiT/TFE、Nrf2、NFκB/Relファミリーの転写因子など、ストレス応答に関与する転写因子の活性を調節し増幅しうることを示す知見について考察する。この知見が示すように、転写因子はストレス応答とオートファジーを増幅するだけでなく、オートファジー関連タンパク質による逆行性調節の対象でもある。オートファジー関連タンパク質との物理的な相互作用、中間体を活性化するための競合、特定のシグナル伝達タンパク質を分解する際にオートファジーが担う「シグナルファジー」としての役割を合わせれば、オートファジーを調節する転写因子に対して負のフィードバックや正のフィードフォワードループを実行する強力なツールとなる。われわれは、このネットワークの相互作用が代謝と生理的応答を調節する仕組みをわかりやすく示す例を複数提示する。

Citation: H.-U. Simon, R. Friis, S. W. G. Tait, K. M. Ryan, Retrograde signaling from autophagy modulates stress responses. Sci. Signal. 10, eaag2791 (2017).

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2017年2月28日号

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