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老化およびヒトの疾患におけるストレス活性化Cap'n'collar転写因子

Stress-Activated Cap'n'collar Transcription Factors in Aging and Human Disease

Reviews

Sci. Signal., 9 March 2010
Vol. 3, Issue 112, p. re3
[DOI: 10.1126/scisignal.3112re3]

Gerasimos P. Sykiotis1,2* and Dirk Bohmann1

1 Department of Biomedical Genetics, University of Rochester Medical Center, Rochester, NY 14642, USA.
2 Harvard Reproductive Endocrine Sciences Center and Reproductive Endocrine Unit, Department of Internal Medicine, Massachusetts General Hospital, Boston, MA 02114, USA.

* Corresponding author. E-mail: gerasimos_sykiotis@urmc.rochester.edu

要約:Cap'n'collar(Cnc)転写因子は、後生動物において保存され、発生およびホメオスタシス上の重要な機能をもつ。脊椎動物のNrf1、Nrf2およびNrf3、Caenorhabditis elegans(線虫)のSKN-1、Drosophila(ショ ウジョウバエ)のCncCは、細胞ストレスへの適応応答を仲介するCnc因子のサブグループを構成する。最もよく研究されているストレス活性化Cnc因子 はNrf2である。Nrf2は、酸化ストレス要因および求電子性生体異物に対する細胞の転写応答を調節する。げっ歯類モデルでは、Nrf2によるシグナル 伝達が、神経変性、呼吸器疾患やがんなどの酸化ストレスや老化に伴う疾患を防いだ。ヒトでは、Nrf2量を減少させる遺伝子多型が、皮膚、呼吸器系、消化 管のさまざまな病理に関連している。Cnc因子は、げっ歯類およびヒトにおける疾患予防のほかに、無脊椎動物において寿命延長機能と抗老化機能をもつ。し かし、ストレスにより活性化されるCnc因子は寿命延長と抗酸化の役割を担っているにもかかわらず、その活性は老化モデル生物や進行性呼吸器疾患または神 経変性を患うヒトにおいて奇妙にも低下している。われわれは、ストレス活性化Cnc因子の役割と調節について生物種間で再検討し、その活性が老化と疾患に よって奇妙にも低下することを報告したすべての実例を提示し、Nrf2シグナル伝達の薬理学的な回復が老化関連疾患の予防と治療に有用かもしれないという 可能性について考察する。

G. P. Sykiotis, D. Bohmann, Stress-Activated Cap'n'collar Transcription Factors in Aging and Human Disease. Sci. Signal. 3, re3 (2010).

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