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神経発達症候群に関連するGNAI1ミスセンス変異はGαi1の機能を修飾する
GNAI1 missense mutations associated with a neurodevelopmental syndrome modify Gαi1 function

SCIENCE SIGNALING
2 Dec 2025 Vol 18, Issue 915
DOI: 10.1126/scisignal.adt8890
Marlene Fritsche1, Gaia Picozzi1, Tomas Nyman2, Hugo Zeberg1, 3, Richard Ågren1, 4, *
- 1 Department of Physiology and Pharmacology, Karolinska Institutet, Stockholm 171 77, Sweden.
- 2 Protein Science Facility, Department of Medical Biochemistry and Biophysics, Karolinska Institutet, Stockholm 171 77, Sweden.
- 3 Department of Evolutionary Genetics, Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology, Leipzig 04103, Germany.
- 4 Department of Neurosurgery, Karolinska University Hospital, Stockholm 171 76, Sweden.
- * Corresponding author. Email: richard.agren@ki.se
Editor's summary
抑制性Gタンパク質Gαi1をコードする遺伝子の変異は、重症度がさまざまな全般的発達遅延を特徴とする、GNAI1症候群と呼ばれる神経学的症候群と関連する。Fritscheらは、病原性であると予測される5つの変異が、Gαi1の機能とシグナル伝達活性にさまざまな影響を及ぼすことを見出した。5つの変異はすべてGTP結合を阻害したが、それに続くGTP加水分解に対する影響は異なった。5つのバリアント中4つは、ドパミンD2受容体の抑制性出力を正味で増加させた。これらの結果は、GNAI1症候群の病態におけるGαi1バリアントの正確な役割を検討するための生化学的基盤を確立するものである。—Leslie K. Ferrarelli
要約
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、興奮性および抑制性ニューロン経路を調節することによって、神経発達に重要な役割を果たす。Gタンパク質サブユニットのGαi1は、抑制性GPCRシグナル伝達の下流エフェクターであり、これをコードする遺伝子(GNAI1)は脳で豊富に発現している。稀少なGNAI1バリアントが、知的障害、一連の運動障害、てんかんを特徴とする、GNAI1症候群と呼ばれる重度の神経発達障害に関連する。今回、われわれは、GNAI1症候群に関連する5つのミスセンスバリアントがGPCRシグナル伝達に及ぼす影響を検討した。遺伝子バイオバンクデータとin silicoモデリングに基づく予測により、これらのバリアントは病原性であることが示唆された。野生型タンパク質と比較して、4つのGαi1バリアント(T48K、T48I、C224YおよびV332E)は、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞に発現させたときに、ドパミンD2受容体(D2R)でのドパミン作用の顕著な増強と、恒常的Gタンパク質活性の上昇を示した。対照的に、Gαi1 G40CバリアントはD2R活性化に反応しなかった。T48Iバリアントを除くすべてのGαi1バリアントはGTP-γ-S結合速度の低下を示し、GTP加水分解が検出されなかったが、T48Iバリアントはより迅速な結合と加水分解を示した。したがって、4つのGNAI1症候群バリアントは、D2Rシグナル伝達に対して正味の機能獲得性の影響を引き起こし、検討したすべてのバリアントがGTP交換を阻害した。これらの生化学的影響がGNAI1症候群の基礎にある可能性があり、したがって、まれな神経発達障害をスクリーニングする際にはGNAI1変異を考慮すべきである。
2025年12月2日号






