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新たなつながり:サイトカインは共有することを学ぶ

New connections: Cytokines learn to share

Editor's Choice

Sci. Signal. 03 Apr 2018:
Vol. 11, Issue 524, eaat7446
DOI: 10.1126/scisignal.aat7446

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

J. W. Cotari, G. Voisinne, O. E. Dar, V. Karabacak, G. Altan-Bonnet, Cell-to-cell variability analysis dissects the plasticity of signaling of common γ chain cytokines in T cells. Sci. Signal. 6, ra17 (2013).
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P. Gonnord, B. R. Angermann, K. Sadtler, E. Gombos, P. Chappert, M. Meier-Schellersheim, R. Varma, A hierarchy of affinities between cytokine receptors and the common gamma chain leads to pathway cross-talk. Sci. Signal. 11,eaal1253 (2018).
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計算モデリングは、異なるサイトカインに対する共通受容体サブユニットを有するT細胞への影響についての洞察を提供する。

要約

インターロイキン-2(IL-2)、IL-4、IL-7およびIL-21を含むサイトカインの共通γ鎖(γc)ファミリーは、いわゆる「プライベート」受容体サブユニット(α鎖)と共通γc受容体サブユニットからなるヘテロ二量体化を通してシグナル伝達する。T細胞は生体内でさまざまな組合せのγcサイトカインと遭遇するだろうこと、さらにこれらのサイトカインは多様な機能的反応を誘導することから、シグナル伝達調節因子の存在量の差が細胞の転帰にどのように影響するかを理解することは重要である。CotariらはArchivesにおいて、細胞間多様性解析(CCVA)と呼ばれる実験と計算を組み合わせた手法を用い、IL-2Rαが、その他のγcサイトカインに対するマウスT細胞応答に、どのように影響するかを検討した。その結果、IL-2Rαの存在量が高いとき、IL-7またはIL-15に対する反応性は低いことが示された。著者らは次に、生物物理学的測定に基づき受容体シグナル伝達複合体の形成をモデル化した。これらのデータから、IL-2Rαは、機能的なIL-2R複合体の形成によってγcを枯渇させることが示唆された。本誌今週号でGonnordらは、ナイーブT細胞におけるγcサイトカイン受容体シグナル伝達に関する計算モデリング及び実験による解析を通じて、このようなシグナル伝達クロストークの解析を進めた。IL-7で細胞を前処理したとき、その後のIL-4またはIL-21の曝露への反応性が低下したが、反対にIL-4またはIL-21で細胞を前処理したとき、その後のIL-7処理への影響は認められなかった。非刺激細胞であっても、γcサブユニットはIL-7Rαと前もって結合しており、IL-4RαまたはIL-21Rαに対するよりもIL-7Rαに対する親和性が高かった。IL-7に応答してIL-7Rα:γc相互作用は増強し、それにより他の受容体からγcサブユニットが隔離された。まとめるとこれらのデータは、γcサイトカインに対するナイーブT細胞の応答は階層的であることを示唆しており、このために、サイトカインが混在する環境でも特定の機能的反応が確実に優先されると考えられる。

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2018年4月3日号

Editor's Choice

新たなつながり:サイトカインは共有することを学ぶ

Research Article

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