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生理学
心臓と心をストレスから守る

Physiology
Protecting the Heart and Mind from Stress

Editor's Choice

Sci. Signal., 2 April 2013
Vol. 6, Issue 269, p. ec77
[DOI: 10.1126/scisignal.2004196]

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

Y. Shintani, A. Kapoor, M. Kaneko, R. T. Smolenski, F. D’Acquisto, S. R. Coppen, N. Harada-Shoji, H. J. Lee, C. Thiemermann, S. Takeshima, K. Yashiro, K. Suzuki, TLR9 mediates cellular protection by modulating energy metabolism in cardiomyocytes and neurons. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 110, 5109–5114 (2013). [Abstract] [Full Text]

Toll様受容体(TLR)は免疫細胞に炎症応答を引き起こす。TLR9は、免疫細胞と、心筋細胞やニューロンなど一部の非免疫細胞にも存在し、細菌細胞および損傷した宿主細胞のDNAを認識する。Shintaniらは、TLR9が心筋細胞およびニューロンにおいて代替的で非炎症性のシグナル伝達経路に働き、傷害性の炎症から細胞を保護している可能性を明らかにした。TLR9の合成リガンドであるCpGオリゴデンドロヌクレオチド(CpG-ODN)を、野生型又はTLR9欠損マウスの生体外拍動心臓に投与したとき、野生型の心臓でのみ心臓収縮性とエネルギー代謝のマーカーが急速に減少し、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性が亢進した。同様の代謝変化が、分化した神経細胞株と、免疫細胞のTLR9シグナル伝達に必須のアダプタータンパク質MyD88(myeloid differentiation primary response gene 88)を欠損しているマウスの心臓でも認められた。さらに、NF-κB(核因子κB)およびマイトジェン活性化プロテインキナーゼのシグナル伝達など標準的炎症応答のマーカーが、CpG-ODNに応答したマクロファージ細胞株で検出されたが、心筋細胞では検出されなかった。TLR9を小胞体(ER)からエンドソームに移動させ、MyD88による炎症シグナル伝達を開始させる主要分子をコードする遺伝子であるUnc93b1の発現は、心筋細胞の方がマクロファージより低く、TLR9のエンドソームへの移動とそのMyD88との相互作用の両方が、マクロファージのみで認められた。Unc93b1欠損マクロファージでは、CpG-ODN処理による炎症応答が抑制されており、AMPKの活性化が亢進していたが、一方で、心筋細胞におけるUnc93b1の過剰発現はTLR9の移動を誘導し、炎症性シグナル伝達を亢進させ、AMPKの活性を抑制した。野生型心筋細胞では逆行性シグナル伝達によってCpG-ODNがエンドソームから小胞体に移動し、TLR9に結合していた。逆行輸送の阻害剤であるRetro-2で処理したとき、CpG-ODNの局在化がエンドソームに制限され、心筋細胞とUnc93b1欠損マクロファージの両方でTLR9依存性のAMPK活性化が低下した。まとめると、今回の所見は、組織損傷後には同じTLR9-リガンド相互作用であっても、細胞種に特異的な輸送に応じて、炎症もしくは代謝の防御的低下を独立して誘導し得ることを示唆している。

L. K. Ferrarelli, Protecting the Heart and Mind from Stress. Sci. Signal. 6, ec77 (2013).

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2013年4月2日号

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