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発生神経科学
p21:前駆細胞プールの保護因子

Developmental Neuroscience
p21: Protector of Progenitor Pools

Editor's Choice

Sci. Signal., 12 November 2013
Vol. 6, Issue 301, p. ec273
[DOI: 10.1126/scisignal.2004897]

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

E. Porlan, J. M. Morante-Redolat, M. A. Marqués-Torrejón, C. Andreu-Agulló, C. Carneiro, E. Gómez-Ibarlucea, A. Soto, A. Vidal, S. R. Ferrón, I. Fariñas, Transcriptional repression of Bmp2 by p21Wif1/Cip1 links quiescence to neural stem cell maintenance. Nat. Neurosci. 16, 1567–1575 (2013). [PubMed]

細胞周期の進行は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)およびその阻害因子(CKI)により制御されている。CKI p21Waf1/Cip1(以下「p21」とする。Cdkn1aがコードしている)は細胞増殖を制限することで、脳内のニューロンとオリゴデンドログリア細胞を生み出す神経幹細胞(NSC)プールの老化を防いでいる。Porlanらは、p21が骨形成タンパク質2(BMP2、グリア新生を促進する)をコードするBmp2の発現を抑制することで、NSCを維持していることを見いだした。2ヵ月齢のマウスの上衣下帯(SEZ)から分離し、マトリゲル上で培養したNSC単一細胞を分析したところ、分化中では核内p21の存在量が低下し、p21陰性の分化細胞はアストログリアに運命づけられる可能性が高いことが明らかにされた。Cdkn1a–/–マウス由来の培養NSCは野生型マウス由来の培養NSCと異なり、扁平な形状を示し、S100β(未熟アストロサイトのマーカー)を多く含み、幹細胞に関連するNotch標的遺伝子であるHes1Hes5の発現が低下していた。またCdkn1a–/–由来NSCでは、Bmp2の発現が増加し、細胞可溶化液中と培養上清中の両方でBMP2の存在量が増加していた。野生型細胞を組換えBMP2で処理したところ、多能性ニューロスフェアの形成が抑制された。Cdkn1a–/–細胞では野生型細胞に比較し、SMAD1、5および8(活性化BMP受容体の下流マーカー)のリン酸化が亢進していた。しかし、BMPアンタゴニストであるNogginの添加または培養上清からのBMP2の免疫除去により、リン酸化SMADとS100βを呈する細胞数は、野生型培養細胞で見られる数と同程度に減少した。p21を欠失した培養細胞で観察される表現型(分化の亢進、Bmp2の発現、Nogginによる干渉)は、Cdkn1a–/–マウスの未処置のSEZでも観察された。半透膜により分離されたプレート上で野生型細胞と共培養されたCdkn1a–/–細胞は、野生型培養細胞におけるニューロスフェアの形成を阻害し、これはNoggin処理により防ぐことができた。まとめるとこれらのデータは、p21不在下でのBMP2の発現および分泌の亢進が、NSCにおける「幹細胞性」の喪失の原因であることを示唆している。Cdkn1a–/–細胞における完全長p21または細胞周期停止を引き起こさないCDK非結合型変異体p21の発現は、Bmp2レポーターコンストラクトの発現を抑制した。このレポーターの抑制は、CDK阻害薬により阻止されなかったが、転写因子E2F1の阻害剤により阻止された。クロマチン免疫沈降法から、推定E2F1結合部位を含む領域内のBmp2プロモーターにp21が結合したことが示唆された。このように、p21はその細胞周期の調節とは独立して、E2F1との相互作用を介してBmp2発現を抑制することで、NSC集団の早期喪失を防いでいる。

L. K. Ferrarelli, p21: Protector of Progenitor Pools. Sci. Signal. 6, ec273 (2013).

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2013年11月12日号

Editor's Choice

発生神経科学
p21:前駆細胞プールの保護因子

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