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自然免疫
火のつきやすい粘液

Innate Immunity
Inflammable Mucus

Editor's Choice

Sci. Signal., 18 March 2014
Vol. 7, Issue 317, p. ec71
[DOI: 10.1126/scisignal.2005282]

Jason D. Berndt

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

M. Wlodarska, C. A. Thaiss, R. Nowarski, J. Henao-Mejia, J.-P. Zhang, E. M. Brown, G. Frankel, M. Levy, M. N. Katz, W. M. Philbrick, E. Elinav, B. B. Finlay, R. A. Flavell, NLRP6 inflammasome orchestrates the colonic host-microbial interface by regulating goblet cell mucus secretion. Cell 156, 1045–1059 (2014). [Abstract]

NLRP6(NOD様受容体ファミリーピリンドメイン含有タンパク質6)を欠損したマウスは、腸の恒常性が障害されており、腸感染に対する感受性が亢進している。NLRPは、細胞質に存在するインフラマソームタンパク質複合体の構成要素である。インフラマソームは、骨髄性細胞に典型的に見出され、病原体および損傷関連分子パターンに対する自然免疫応答を促進する。Wlodarskaらは、NLRP6インフラマソームが、腸上皮細胞において粘液の産生に必要とされることを見出した。シトロバクター・ローデンチウム(Citrobacter rodentium)を接種されたNlrp6–/–マウスは、野生型マウスと比較して、より持続的で重度の結腸感染を有した。同様に、Asc–/–マウスならびにCaspase-1–/–およびCaspase-11–/–Casp1/11–/–)マウスを含む、インフラマソームの他の構成要素を欠損したマウスも、結腸感染を治癒させることができなかった。この影響は、免疫活性化の一次的な障害によるものではないと考えられた。その代わり、著者らは、粘液を分泌する杯細胞でNlrp6が発現されており、Nlrp6–/–Asc–/–、およびCasp1/11–/–マウスは、杯細胞の過形成を有し、腸粘液が少ないことを見出した。Nlrp6–/–およびAsc–/–マウスでは、ムチン含有顆粒が杯細胞内部ではなく腸内腔に存在したことから、杯細胞の顆粒エキソサイトーシスが障害されていることが示唆された。Nlrp6–/–Asc–/–、およびCasp1/11–/–マウスの杯細胞では、LC3(微小管関連タンパク質1軽鎖3)の脂質付加が減少しており、p62(sequestosome 1としても知られる)の存在量が増加していたことから、これらの細胞でオートファジーが障害されていることが示唆された。オートファジーに必要なオートファジー遺伝子5のヘテロ欠損を有するマウスでは、腸粘液が少なく、杯細胞の過形成、顆粒エキソサイトーシスの障害がみられた。このように、腸杯細胞におけるインフラマソームシグナル伝達は、粘液の産生と感染に対する抵抗性に必要なオートファジーを活性化する。

J. D. Berndt, Inflammable Mucus. Sci. Signal. 7, ec71 (2014).

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2014年3月18日号

Editor's Choice

自然免疫
火のつきやすい粘液

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