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機械化学的シグナル伝達が心の琴線を調律する

Mechano-Chemo Transduction Tunes the Heartstrings

Perspectives

Sci. Signal., 18 March 2014
Vol. 7, Issue 317, p. pe7
[DOI: 10.1126/scisignal.2005214]

Benjamin L. Prosser1* and Christopher W. Ward2,3*

1 Department of Physiology, Perelman School of Medicine, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.
2 Department of Organizational Systems and Adult Health, University of Maryland School of Nursing, Baltimore, MD 21201, USA.
3 Center for Biomedical Engineering and Technology (BioMET), University of Maryland School of Medicine, Baltimore, MD 21201, USA.

* Corresponding author. E-mail: ward@son.umaryland.edu (C.W.W.); bpros@mail.med.upenn.edu (B.L.P.)

要約

拍動する心臓では、機械的伸張が引き金となって、Ca2+シグナル伝達タンパク質を標的とする活性酸素種や活性窒素種の産生が引き起こされる。機械化学的シグナル伝達と呼ばれるこの経路は、健康な心臓のカルシウム放出機構を「調律」しており、調節不全に陥ると、疾患に寄与する。Science Signalingの今週号で、Jianらは、セル–イン–ゲル(cell-in-gel)法を用いて、一酸化窒素合成酵素(NOS)、NADPH酸化酵素2(Nox2)、Ca2+/カルモジュリン依存性キナーゼII(CaMKII)が寄与する機械化学的シグナル伝達の急激で粘度依存的な亢進が健康な心臓細胞の収縮によって誘発されることを示す。この著者らは、内皮型NOSよりも神経型NOS(nNOS)が関わるエビデンスを提供している。彼らの知見は、超解像度顕微鏡法によって裏づけられており、Ca2+放出部位の最近接にnNOSが局在化されていた。疾患モデルでは、Nox2ではなくnNOSとCaMKIIを介したシグナル伝達が亢進されたことから、これらの酵素が非依存的に機械的に活性化されることが裏づけられた。これらの定量的手法の組み合わせによって、機械化学的シグナル伝達についての新たな理解が得られるだろう。

B. L. Prosser, C. W. Ward, Mechano-Chemo Transduction Tunes the Heartstrings. Sci. Signal. 7, pe7 (2014).

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