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神経科学
スピードのシナプス伝達

Neuroscience
Synaptic Transmission on Speed

Editor's Choice

Sci. Signal., 29 July 2014
Vol. 7, Issue 336, p. ec200
DOI: 10.1126/scisignal.2005738

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

S. M. Underhill, D. S. Wheeler, M. Li, S. D. Watts, S. L. Ingram, S. G. Amara, Amphetamine modulates excitatory neurotransmission through endocytosis of the glutamate transporter EAAT3 in dopamine neurons. Neuron 83, 404–416 (2014). [PubMed]

中毒性薬物アンフェタミンは、精神刺激薬であり、神経伝達物質ドーパミンおよびグルタミン酸の細胞外濃度の増加を伴う。グルタミン酸は、ニューロンおよびアストロサイト表面の興奮性アミノ酸輸送体(EAAT)により除去され、興奮性神経伝達が制限される。Underhillらは、アンフェタミンがドーパミンニューロンへ取り込まれると、EAAT3のニューロン表面からの内在化が開始され、グルタミン酸クリアランスが低下することを見出した。マウス中脳ニューロン初代培養またはドーパミン輸送体(DAT)とEAAT1、EAAT2、またはEAAT3を発現しているヒト胎児由来腎臓293細胞(HEK 293)において、アンフェタミンは、EAAT3を介したトリチウム標識グルタミン酸の取り込みを、選択的に減少させた。DATを共発現しているHEK 293細胞において、アンフェタミンは、高感度緑色蛍光タンパク質(eGFP)タグ付加EAAT3の表面存在量を減少させたが、EAAT2の表面存在量は減少させなかった。不透性ビオチン標識法を用いたところ、アンフェタミンを含む人工脳脊髄液に浸した成体マウス中脳切片に由来するライセートは、アンフェタミンを含まない液体に浸した切片に由来するライセートと比較して、EAAT3表面濃度の低下を示した。DAT拮抗薬であるコカインは、アンフェタミンにより誘導される表面EAAT3の減少を抑制した。アンフェタミンと培養したHEK 293細胞において、pH感受性蛍光タグ付加ストレプトアビジンにより、ビオチンタグ付加eGFP-EAAT3がエンドサイトーシス小胞に内在化することが示された。グアノシントリホスファターゼダイナミンとRhoAは、エンドサイトーシスの機構を媒介する。ダイナソア(ダイナミン阻害薬)、菌体外毒素C3(RhoA阻害薬)、またはRhoAドミナントネガティブ変異体の発現は、EAAT3とDATを共発現しているHEK 293細胞において、アンフェタミンが誘導するグルタミン酸取り込みの低下を防止した。HEK 293細胞にEAAT3のC末端断片を含むEAAT2のキメラを発現させたところ、アンフェタミンに依存するEAAT3の内在化が細胞質側末端の短いモチーフによって媒介されることが明らかになった。EAAT3とDATを共発現しているHEK 293細胞またはマウス脳切片において、このモチーフを含む細胞透過性ペプチドを加えると、内因性EAAT3と競合し、グルタミン酸取り込みの抑制が防がれ、それとは別にアンフェタミンによって誘導されるドーパミンニューロンにおけるグルタミン酸作動性シナプス電流の増加が防止された。このように、アンフェタミンは、ドーパミンニューロンのEAAT3を通して、グルタミン酸のクリアランスを低下させることで、興奮性神経伝達を亢進する。

L. K. Ferrarelli, Synaptic Transmission on Speed. Sci. Signal. 7, ec200 (2014).

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