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神経科学
オートファジーは社会性をもつ

Neuroscience
Autophagy Goes Social

Editor's Choice

Sci. Signal., 9 September 2014
Vol. 7, Issue 342, p. ec242
DOI: 10.1126/scisignal.2005876

Jason D. Berndt

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

G. Tang, K. Gudsnuk, S.-H. Kuo, M. L. Cotrina, G. Rosoklija, A. Sosunov, M. S. Sonders, E. Kanter, C. Castagna, A. Yamamoto, Z. Yue, O. Arancio, B. S. Peterson, F. Champagne, A. J. Dwork, J. Goldman, D. Sulzer, Loss of mTOR-dependent macroautophagy causes autistic-like synaptic pruning deficits. Neuron 83, 1131–1143 (2014). [PubMed]

H. Bowling, E. Klann, Shaping dendritic spines in autism spectrum disorder: mTORC1-dependent macroautophagy. Neuron 83, 994–996 (2014). [PubMed]

自閉症スペクトラム障害(ASD)患者は、コミュニケーションおよび他の社会性行動に欠陥をもつ。ASDは遺伝性であるが、遺伝的病因は多様である。多系統疾患である結節性硬化症複合体(TSC)は、TSC1あるいはTSC2の優性常染色体突然変異に起因するものであるが、その患者はASDを示す。TSC1およびTSC2は、キナーゼmTOR(ラパマイシンの機械的標的)を阻害するヘテロ二量体複合体を形成する。Raptorの存在によって定義される多タンパク質複合体mTORC1において、mTORはタンパク質合成を促進し、タンパク質および細胞小器官を再利用するために用いられる細胞過程、オートファジーを妨げる。Tsc1あるいはTsc2を欠損するマウスでは、mTORC1が活性化され、ASD様症状がみられる。Tangらは、ASD患者の大脳皮質部では、正常な脳成熟の一部であるニューロン樹状突起スパインの剪定が減少しており、mTORC1活性が増加し、オートファジーが減少することを見いだした。Tsc2の不活化突然変異をもつヘテロ接合マウス(Tsc2+/–マウス)あるいはTsc1の皮質ニューロンにおけるコンディショナルノックアウトマウス(Tsc1CKOマウス)では、皮質での樹状突起スパインの剪定が減少していた。Tsc2+/–マウスでは皮質におけるオートファジーに欠陥が見られ、オートファジー関連遺伝子Atg7の皮質ニューロン特異的ノックアウトマウス(Atg7CKOマウス)では、樹状突起スパインの剪定の減少およびASD様の行動症状がみられた。海馬ニューロン初代培養におけるAtg7のノックダウンも、スパインの剪定を減少させた。mTORC1阻害剤ラパマイシンの注入は、Tsc2+/–マウスにおいて剪定および行動の欠損を回復させたが、Atg7CKOマウスでは回復させず、Tsc2+/–;Atg7CKOマウスではより回復度が小さかった。このように、mTORC1活性の過剰あるいは制御不全は、オートファジーおよび他のmTORC1依存的機構の両方を介してシナプス剪定を妨げることにより、ASD症状に寄与する可能性がある(BowlingとKlann参照)。

J. D. Berndt, Autophagy Goes Social. Sci. Signal. 7, ec242 (2014).

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2014年9月9日号

Editor's Choice

神経科学
オートファジーは社会性をもつ

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