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アブシジン酸の刺激による部位およびキナーゼ特異的なリン酸化を介した孔辺細胞の陰イオンチャネルSLAC1の活性化

Site- and kinase-specific phosphorylation-mediated activation of SLAC1, a guard cell anion channel stimulated by abscisic acid

Research Article

Sci. Signal., 9 September 2014
Vol. 7, Issue 342, p. ra86
DOI: 10.1126/scisignal.2005703

Tobias Maierhofer1, Marion Diekmann1, Jan Niklas Offenborn2, Christof Lind1, Hubert Bauer1, Kenji Hashimoto2,*, Khaled A. S. Al-Rasheid3, Sheng Luan4, Jörg Kudla2,5, Dietmar Geiger1,†, and Rainer Hedrich1,5

1 Department of Molecular Plant Physiology and Biophysics, University Würzburg, Julius-von-Sachs Platz 2, 97082 Würzburg, Germany.
2 Institute of Plant Biology and Biotechnology, University of Münster, Schlossplatz 4, 48149 Münster, Germany.
3 Zoology Department, College of Science, King Saud University, P.O. Box 2455, Riyadh 11451, Saudi Arabia.
4 Department of Plant and Microbial Biology, University of California, Berkeley, CA 94720, USA.
5 King Saud University, Riyadh 11451, Saudi Arabia.

† Corresponding author. E-mail: geiger@botanik.uni-wuerzburg.de

* Present address: Department of Applied Biological Science, Tokyo University of Science, 2641 Yamazaki, Noda 278-8510, Japan.

要約 乾燥ストレスの下では、アブシジン酸(ABA)が2つの孔辺細胞(植物表皮の特殊化した細胞)により形成される気孔(葉の細胞孔)の閉鎖を引き起こす。ABAの下流にある2つの経路が、S型陰イオンチャネルであるSLAC1(slow anion channel associated 1)とSLAH3(SLAC1 homolog 3)のリン酸化を促進し、これらのチャネルの開放を引き起こし、孔辺細胞の体積を減少させて気孔閉鎖を誘発する。2つの経路のうちの一方の分枝は、カルシウム非依存性SnRK2型キナーゼであるOST1(open stomata 1)が関わるもので、もう1つの分枝はCPK(カルシウム依存性プロテインキナーゼ)ファミリーのカルシウム依存性プロテインキナーゼが関わるものである。われわれはアフリカツメガエル卵母細胞において共発現解析を用い、カルシニューリンB様(CBL)カルシウムセンサーであるCBL1およびCBL9と、それらが相互作用するプロテインキナーゼCIPK23も、SLAC1とSLAH3の開放を引き起こすことを明らかにした。さらに、これらの様々なキナーゼファミリーによるSLAC1開放の調節には、SLAC1上の異なる部位が関わっているのか、または同じ部位が関わっているのかを明らかにするため、アフリカツメガエル卵母細胞において特定のキナーゼと共発現している、N末端またはC末端の推定リン酸化部位を変異させたSLAC1チャネルのコンダクタンスを測定した。OST1リン酸化部位を欠損するSLAC1変異体は、依然としてCPKまたはCBL/CIPK複合体により活性化された。両キナーゼによるSLAC1のリン酸化と活性化は、ABAシグナル伝達に応じて不活性化されるホスファターゼABI1(ABA insensitive 1)により阻害された。これらの所見は、CBL/CIPK複合体がS型陰イオンチャネルを介した気孔開度の潜在的調節因子であることを明らかにし、また、異なる部位でのリン酸化が、ABAの下流にあるカルシウム依存性と非依存性の両方の経路によりSLAC1の活性化を可能にしていることを示している。

T. Maierhofer, M. Diekmann, J. N. Offenborn, C. Lind, H. Bauer, K. Hashimoto, K. A. S. Al-Rasheid, S. Luan, J. Kudla, D. Geiger, and R. Hedrich, Site- and kinase-specific phosphorylation-mediated activation of SLAC1, a guard cell anion channel stimulated by abscisic acid. Sci. Signal. 7, ra86 (2014).

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2014年9月9日号

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