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がん
ケモカイン受容体がリンパ腫を促進する

Cancer
A Chemokine Receptor Drives Lymphoma

Editor's Choice

Sci. Signal., 23 December 2014
Vol. 7, Issue 357, p. ec352
DOI: 10.1126/scisignal.aaa5268

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

M. Nakagawa, R. Schmitz, W. Xiao, C. K. Goldman, W. Xu, Y. Yang, X. Yu, T. A. Waldmann, L. M. Staudt, Gain-of-function CCR4 mutations in adult T cell leukemia/lymphoma. J. Exp. Med. 211, 2497–2505 (2014). [Abstract] [Full Text]

K. M. Shannon, CCR4 drives ATLL jail break. J. Exp. Med. 211, 2485 (2014). [Full Text]

成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)は、予後不良を伴う侵襲性の高いリンパ腫であり、ヒトT細胞リンパ球指向性ウイルス1(HTLV-1)による感染によって引き起こされる。しかし、HTLV-1感染者でATLLを発症する人は10%に満たないことから、細胞遺伝子の体細胞変異が疾患の発症を促進するかもしれないことが示唆される。Nakagawaらは、ATLL患者2人のRNAトランスクリプトーム分析を実施し、T細胞の遊走を媒介しATLL患者の白血病細胞に非常に豊富に存在するGタンパク質共役受容体である、ケモカイン受容体CCR4をコードするCCR4に変異を見出した。患者およびATLL細胞株に由来する追加検体の25%以上に同様の変異が認められた。これらの変異の結果、受容体の脱感作および内在化に必要な細胞質領域を欠いた切断型CCR4タンパク質が生じた。実際、ATLL細胞上の細胞表面受容体の存在量の分析から、リガンドにより誘導される切断型CCR4の内在化が、野生型CCR4と比較して損なわれていることが示された。切断型CCR4のみを発現しているATLL細胞株は、野生型CCR4のみを同等量有する細胞と比較して、CCR4リガンドCCL17およびCCL22による遊走の亢進を示した。切断型CCR4によるケモカイン依存性のシグナル伝達により、野生型CCR4により刺激されるものと比較して、キナーゼPI3Kの活性化が亢進した。競合細胞増殖アッセイから、CCR4変異体を発現しているATLL細胞は、野生型CCR4を発現しているATLL細胞と比較して、より高い程度まで増殖することが示された。Shannonが論じているように、これらの結果は、CCR4変異をATLLの発症と結びつけるものであり、CCR4シグナル伝達を標的にすることで、この疾患を治療する治療戦略が得られるかもしれないことを示唆している。

J. F. Foley, A Chemokine Receptor Drives Lymphoma. Sci. Signal. 7, ec352 (2014).

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ケモカイン受容体がリンパ腫を促進する

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