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RASシグナル伝達はBADに媒介されるアポトーシスを抑制することによってJAK阻害薬に対する抵抗性を高める

RAS signaling promotes resistance to JAK inhibitors by suppressing BAD-mediated apoptosis

Research Article

Sci. Signal., 23 December 2014
Vol. 7, Issue 357, p. ra122
DOI: 10.1126/scisignal.2005301

Peter S. Winter1, Kristopher A. Sarosiek2,3, Kevin H. Lin1, Manja Meggendorfer4, Susanne Schnittger4, Anthony Letai2,3, and Kris C. Wood1,*

1 Department of Pharmacology and Cancer Biology, Duke University School of Medicine, Durham, NC 27710, USA.
2 Department of Medical Oncology, Dana-Farber Cancer Institute, Boston, MA 02215, USA.
3 Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
4 MLL Munich Leukemia Laboratory, Max-Lebsche-Platz 31, 81377 Munich, Germany.

* Corresponding author. E-mail: kris.wood@duke.edu

要約 骨髄増殖性腫瘍(MPN)はしばしば、ヤヌスキナーゼ2(JAK2)をコードする遺伝子に活性化変異を有する。そのため、JAKに媒介される経路とその下流基質であるシグナル伝達性転写因子(STAT)を標的にすれば、JAK2V617F変異をもつMPN患者にとって臨床上の利益が得られるかもしれない。JAK阻害薬療法は患者の脾腫を縮小させ、全身症状を改善するが、この治療法では腫瘍細胞の数はあまり減少しない。この特有の抵抗性現象の根底にあると考えられる機構を同定するために、われわれはJAK2V617F造血細胞で経路を中心とする機能獲得スクリーニングを行い、グアノシントリホスファターゼ(GTPase)RASまたはそのエフェクター経路[キナーゼAKTと細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)に媒介される]を活性化すると細胞がJAK阻害薬に対して非感受性になることを見出した。抵抗性MPN細胞をAKTまたはERK経路の阻害薬にも曝露させると、JAK阻害薬に対して感作された。機構的には、JAK2V617F細胞では、JAK2に媒介されるアポトーシス促進性タンパク質BAD[B細胞リンパ腫2(BCL-2)関連細胞死促進因子]の非活性化リン酸化によって細胞の生存が促進されていた。感受性細胞では、JAK阻害薬への曝露によってBADの脱リン酸化が引き起こされたことで、BADは生存促進性タンパク質BCL-XL(BCL-2-様1)と結合して隔離させることができるようになり、それがアポトーシスの引き金となった。抵抗性細胞では、JAK阻害薬の存在下でRASエフェクター経路がBADのリン酸化を維持し、BCL-XLへの特異的依存による生存がもたらされた。MPNを有する患者では、悪性細胞においてRASの活性化変異がJAK2V617F変異と同時に発生することから、臨床的に観察される抵抗性においてRASエフェクター経路が重要な役割を果たしている可能性があることが示唆される。

P. S. Winter, K. A. Sarosiek, K. H. Lin, M. Meggendorfer, S. Schnittger, A. Letai, and K. C. Wood, RAS signaling promotes resistance to JAK inhibitors by suppressing BAD-mediated apoptosis. Sci. Signal. 7, ra122 (2014).

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