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免疫学
転写因子Soxは細菌DNAを検出する
Immunology
A transcription factor Sox it to bacterial DNA
Sci. Signal., 31 March 2015
Vol. 8, Issue 370, p. ec74
DOI: 10.1126/scisignal.aab2138
John F. Foley
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
P. Xia, S. Wang, B. Ye, Y. Du, G. Huang, P. Zhu, Z. Fan, Sox2 functions as a sequence-specific DNA sensor in neutrophils to initiate innate immunity against microbial infection. Nat. Immunol. 16, 366-375 (2015). [PubMed]
A. K. Mankan, V. Hornung, Sox2 as a servant of two masters. Nat. Immunol. 16, 335-336 (2015). [PubMed]
好中球は、それらが抗菌因子や他種の免疫細胞を動員するサイトカインおよびケモカインを分泌する感染部位において最初に応答する免疫細胞である。好中球は、病原体を検出する膜結合Toll様受容体(TLR)を持つが、それらが微生物核酸の細胞質センサーを持つかどうかは不明である。Xiaらは、転写因子Sox2がマウスの好中球には存在するが、他種の免疫細胞には存在しないことをフローサイトメトリーおよび免疫蛍光染色により発見した。細胞分画アッセイは、この転写因子が主に細胞質にあることを示した。リステリア菌(Listeria monocytogenes)に感染した場合、Sox2欠損好中球を持つマウスは正常好中球を持つマウスと比較して死亡率や細菌負荷の増加を示し、Sox2欠損好中球を持つマウスでは、その血清中の炎症性サイトカインの量が減少していた。リステリア菌DNAは、骨髄免疫細胞において核酸センサーとして機能する細胞質タンパク質により検出される。しかし、好中球における既知DNAセンサーの遺伝子欠失は、この病原体に応答した炎症性サイトカインの産生を阻害しなかった。バイオインフォマティクス解析は、リステリア菌DNAにSox2結合配列が存在することを明らかにし、これらの配列と一致する二本鎖DNA(「一致」DNA)は、好中球可溶化液からSox2を免疫沈降させた。酵母ツーハイブリッド解析では、Sox2の結合パートナーとしてアダプタータンパク質TAB2が同定され、免疫蛍光分析は、一致リステリア菌DNAをトランスフェクトした好中球においては、Sox2はTAB2およびキナーゼTAK1と結合するが、不一致DNAをトランスフェクトした好中球では結合しないことを示した。炎症性NF-κBシグナル伝達を刺激するTAB2-TAK1複合体の活性化は、Sox2の二量体化を必要とした。好中球におけるTAB2またはTAK1のノックダウンは、リステリア菌DNAに応答する炎症性サイトカインをコードする遺伝子の発現を阻害した。対照マウスと比較して、TAB2またはTAK1のいずれかを欠く好中球を持つマウスは、リステリア菌感染に応答して、より死にやすかった。合わせると、これらのデータは、転写因子Sox2が自然免疫応答の一部として、炎症性サイトカインの産生を刺激する好中球における細菌DNAの配列特異的検出器として働くことを示唆している(MankanとHornungによるCommentary参照)。
J. F. Foley, A transcription factor Sox it to bacterial DNA. Sci. Signal. 8, ec74 (2015).