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メバロン酸代謝によるTリンパ球の制御

T lymphocyte regulation by mevalonate metabolism

Reviews

Sci. Signal., 31 March 2015
Vol. 8, Issue 370, p. re4
DOI: 10.1126/scisignal.2005970

Martin Thurnher* and Georg Gruenbacher

Immunotherapy Unit, Department of Urology, Medical University of Innsbruck and Oncotyrol, K1 Center for Personalized Cancer Medicine, 6020 Innsbruck, Austria.

* Corresponding author. E-mail: martin.thurnher@i-med.ac.at

要約 代謝要求量が少ない休止期のTリンパ球は、酸化的リン酸化(OXPHOS)を利用してそのATP産生を最大にしているが、活性化T細胞は腫瘍細胞と同様、代謝活性を、メバロン酸代謝も刺激する好気的解糖に移行させている。メバロン酸のステロール誘導体および非ステロール誘導体はいずれも、T細胞の機能に影響する。様々なクラスの転写因子により動的に制御されているステロールの細胞内利用能は、T細胞応答を調節する代謝チェックポイントである。イソプレノイドという膜アンカーにより修飾される電子運搬体ユビキノンは、T細胞の増殖を支持するOXPHOSにおいて重要な役割を果たしている。イソプレニル化は、T細胞の免疫シナプス形成、遊走、増殖および細胞傷害性エフェクター応答に関与するRas、RhoおよびRabといったグアノシントリホスファターゼの、原形質膜への結合も媒介している。最後に、複数のリン酸化されたメバロン酸誘導体は自然免疫様γδT細胞に対する危険なシグナルとして働き、したがってストレス、病原体および腫瘍の免疫監視に寄与する可能性がある。われわれは、エフェクターT細胞および制御性T細胞の代謝の再プログラミングにおける、メバロン酸経路の重要性を浮き彫りにした。

M. Thurnher and G. Gruenbacher, T lymphocyte regulation by mevalonate metabolism. Sci. Signal. 8, re4 (2015).

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2015年3月31日号

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