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PTENはPREX2によって触媒されるRAC1活性化を阻害して腫瘍細胞の浸潤を抑制する

PTEN inhibits PREX2-catalyzed activation of RAC1 to restrain tumor cell invasion

Research Article

Sci. Signal., 31 March 2015
Vol. 8, Issue 370, p. ra32
DOI: 10.1126/scisignal.2005840

Sarah M. Mense1, Douglas Barrows1,2, Cindy Hodakoski1, Nicole Steinbach1,3, David Schoenfeld1,3, William Su1, Benjamin D. Hopkins1, Tao Su4, Barry Fine5, Hanina Hibshoosh4,6, and Ramon Parsons1,*

1 Department of Oncological Sciences, Icahn School of Medicine at Mount Sinai, 1470 Madison Avenue, New York, NY 10029, USA.
2 Department of Pharmacology, Columbia University, New York, NY 10032, USA.
3 Integrated Program in Cellular, Molecular, Structural, and Genetic Studies, Columbia University, New York, NY 10032, USA.
4 Herbert Irving Comprehensive Cancer Center, Columbia University, 1130 St. Nicholas Avenue, New York, NY 10032, USA.
5 Department of Medicine, Columbia University, 630 West 168th Street, New York, NY 10032, USA.
6 Department of Pathology and Cell Biology, Columbia University, 630 West 168th Street, New York, NY 10032, USA.

* Corresponding author. E-mail: ramon.parsons@mssm.edu

要約 腫瘍抑制因子PTENは、PI3K経路の阻害およびキナーゼAKTの活性化低下とは独立した機構によって、細胞の遊走と浸潤を抑制する。GTPase RAC1を活性化させる、広く分布するGEFであるPREX2は、PTENに結合してこれを阻害する。われわれは、マウス胚線維芽細胞と乳がん細胞株を用いて、PTENが、PREX2の活性を阻害することによって、細胞の遊走と浸潤を抑制することを示した。ホスホイノシチドPIP3の代謝に加えて、PTENは、PTENの尾部ドメインを必要とするが脂質ホスファターゼ活性を必要としない機構によって、PREX2誘導性の浸潤を阻害した。蛍光ヌクレオチド交換アッセイによって、PTENは、RAC1に対するPREX2のGEF活性を阻害することが明らかになった。PREX2はがんにおいて高頻度に変異しているGEFであり、ヒト腫瘍データの検討により、PREX2変異がPTENの高発現に関連することが示された。そこでわれわれは、不死化メラノサイトの腫瘍形成を加速させる、がん由来の体細胞PREX2変異体が、PTENによって阻害されるかどうかを検討した。われわれが検討した、安定的に発現している3種類の体細胞PREX2がん変異体は、PTENを介する浸潤阻害に抵抗性を示した一方で、PTENの脂質ホスファターゼ活性を阻害する能力を維持していた。In vitro解析では、PTENが、2つのPREX2がん変異体のGEF活性を阻害せず、3つ目の変異体との結合親和性が低下していることが示された。このようにPTENは、PREX2のGEF活性を抑制することによって、遊走と浸潤に拮抗し、がんにおいては、PTENを介する浸潤阻害を免れるために、PREX2変異体が選択されると考えられる。

S. M. Mense, D. Barrows, C. Hodakoski, N. Steinbach, D. Schoenfeld, W. Su, B. D. Hopkins, T. Su, B. Fine, H. Hibshoosh, and R. Parsons, PTEN inhibits PREX2-catalyzed activation of RAC1 to restrain tumor cell invasion. Sci. Signal. 8, ra32 (2015).

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