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カルシウムシグナル伝達
ミルクはOrai1を必要とする

Calcium Signaling
Milk needs Orai1

Editor's Choice

Sci. Signal., 19 May 2015
Vol. 8, Issue 377, p. ec127
DOI: 10.1126/scisignal.aac5307

Sudhakaran Prabakaran

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

F. M. Davis, A. Janoshazi, K. S. Janardhan, N. Steinckwich, D. M. D’Agostin, J. G. Petranka, P. N. Desai, S. J. Roberts-Thomson, G. S. Bird, D. K. Tucker, S. E. Fenton, S. Feske, G. R. Monteith, J. W. Putney Jr., Essential role of Orai1 store-operated calcium channels in lactation. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 112, 5827–5832 (2015). [PubMed]

泌乳中の乳腺房における、内腔上皮細胞による乳汁中へのカルシウム(Ca2+)輸送には、Ca2+チャネル、ポンプ、Ca2+感知タンパク質の協調的な機能が関与している。泌乳中の乳腺では、ストア作動性Ca2+チャネルであるOrai1をコードする遺伝子の発現が増加する。Davisらは、泌乳期Orai1欠損(Orai1–/–)マウスの乳汁中Ca2+濃度が、野生型(Orai1+/+)マウスの乳汁中濃度の半分であることを見出した。しかし、総乳タンパク質と母体血清Ca2+濃度には差がなかった。Orai1+/+マウスとOrai1–/–マウスの乳腺切片の組織学的解析により、それらの構造の発達と分泌能は同様であることが示された。しかし、Orai1–/–乳腺の腺房はより拡張しており、乳管と腺房内腔に閉じ込められた乳タンパク質の染色が増強された。Orai1–/–マウスにおいて、乳汁射出に必要な収縮力を生み出す筋上皮細胞の構造と組織は正常であり、これらの細胞からのイオノマイシン刺激によるCa2+放出は、野生型マウスと欠損マウスとで同様であった。乳汁分泌を誘導するホルモンであるオキシトシンが、筋上皮細胞における初期のCa2+スパイクを刺激し、これに続いてCa2+振動が発生した。しかし、Orai1–/–細胞ではこれらの振動が減弱していた。切除した乳腺生組織におけるオキシトシン誘導腺房収縮のイメージングによって、Orai1+/+マウスの組織では収縮が適切に調整されるが、Orai1–/–マウスの組織では調整されないことが示された。これらの結果は、Orai1を介する筋上皮細胞内へのCa2+流入と腺房収縮の関連性を明らかにするとともに、Orai1が、乳汁中へのCa2+輸送と泌乳による乳汁射出の両方に関与することを示唆している。

S. Prabakaran, Milk needs Orai1. Sci. Signal. 8, ec127 (2015).

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