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足場タンパク質NHERF1の分子スイッチのおかげでミスフォールド変異型CFTRは形質膜での品質管理機構チェックポイントを回避できる

A molecular switch in the scaffold NHERF1 enables misfolded CFTR to evade the peripheral quality control checkpoint

Research Article

Sci. Signal., 19 May 2015
Vol. 8, Issue 377, p. ra48
DOI: 10.1126/scisignal.aaa1580

Cláudia A. Loureiro1,2, Ana Margarida Matos1,2, Ângela Dias-Alves1,2, Joana F. Pereira1,2, Inna Uliyakina2, Patrícia Barros1,2, Margarida D. Amaral2, and Paulo Matos1,2,*

1 Department of Human Genetics, National Health Institute Doutor Ricardo Jorge, Av. Padre Cruz, 1649-016 Lisboa, Portugal.
2 Biosystems & Integrative Sciences Institute (BioISI), Faculty of Sciences, University of Lisboa, Campo Grande-C8, 1749-016 Lisboa, Portugal.

* Corresponding author. E-mail: phmatos@fc.ul.pt

要約 形質膜でのタンパク質品質管理機構(PPQC)は、E3ユビキチンリガーゼCHIP(carboxyl terminus of Hsc70 interacting protein、Hsc70相互作用タンパク質のカルボキシル末端)が関与する機構を介して、適切にフォールドされていないタンパク質を形質膜から除去する。VX-809などの一部の嚢胞性線維症(CF)薬は、CF膜コンダクタンス制御因子(CFTR)の機能を部分的に保持するミスフォールド変異体(F508del-CFTRなど)の形質膜への輸送を改善するが、PPQCは、そのようなCF薬の有効性を制限する。われわれはF508del-CFTRを用いて、VX-809に曝露された肺の上皮細胞でPPQCチェックポイントを調べた。「レスキュー」されたF508del-CFTR(VX-809処理された細胞で細胞表面まで到達した一部のF508del-CFTR)をPPQCが認識するかどうかを決定したのは、足場タンパク質NHERF1(Na+/H+交換制御因子)の高次構造であった。細胞骨格制御因子Rac1を活性化させると、アクチン結合アダプタータンパク質ezrinとNHERF1との相互作用が促進され、レスキューされたF508del-CFTRと相互作用するNHERF1の2番目のPDZドメインの露出が引き起こされた。F508del-CFTRとNHERF1の2番目のPDZとの結合によってCHIPの動員が妨げられるため、Rac1活性化因子に同時曝露させた気道細胞では、VX-809の有効性は3倍近くになった。NHERF1とezrinの相互作用を妨げると、Rac1の活性化によるVX-809の有効性の増大は阻止されたが、ezrinのアクチン結合ドメインは、この有効性の増大に必須ではなかった。したがって、F508del-CFTRの大部分はアクチン細胞骨格に直接的にアンカーリングされたのではなく、Rac1シグナル伝達によって誘導されたezrinの活性化がNHERF1の高次構造の変化を引き起こしたことで、ミスフォールドされたCFTRは形質膜に結合して安定化できるようになったのだ。細胞表面でのCFTRの安定化に関するこれらの洞察は、CF治療を改善するための新たな標的を提供するものである。

C. A. Loureiro, A. M. Matos, Â. Dias-Alves, J. F. Pereira, I. Uliyakina, P. Barros, M. D. Amaral, and P. Matos, A molecular switch in the scaffold NHERF1 enables misfolded CFTR to evade the peripheral quality control checkpoint. Sci. Signal. 8, ra48 (2015).

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