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微生物学
細菌のc-di-GMPのサイクリン様機能

MICROBIOLOGY
Cyclin-like function of bacterial c-di-GMP

Editor's Choice

Sci. Signal. 21 Jul 2015:
Vol. 8, Issue 386, pp. ec195
DOI: 10.1126/scisignal.aad0291

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

C. Lori, S. Ozaki, S. Steiner, R. Böhm, S. Abel, B. N. Dubey, T. Schirmer, S. Hiller, U. Jenal, Cyclic di-GMP acts as a cell cycle oscillator to drive chromosome replication. Nature 523, 236–239 (2015). [PubMed]

真核生物において細胞周期進行を制御し、増殖と分化のバランスを取る、サイクリンやサイクリン依存性キナーゼ(CDK)が、細菌にはない。海洋細菌カウロバクター・クレセンタス(Caulobacter crescentus)においては、キナーゼとホスファターゼの二重活性をもつCckAが、マスター細胞周期制御因子CtrAのリン酸化状態を制御する。CtrAはリン酸化されると、複製起点に結合して、DNA複製の開始を阻止する。CtrAが脱リン酸化されると、この抑制は解除される。増殖C. crescentus細胞は非対称性の桿体で、一方の極はストークによって基質に付着し、もう一方の極は鞭毛を有する。細胞は非対称に分裂し、ストーク極からは、増殖し続ける能力をもつ固着性のストーク細胞1個が生成し、もう一方からは、その後表面に付着し、ストーク細胞に分化して分裂しなければならない運動性の遊走細胞1個が生成する。セカンドメッセンジャー3',5'-サイクリックジグアノシン一リン酸(c-di-GMP)の存在量は、遊走細胞では低く、ストーク型への移行時に増加し、分化したストーク細胞で最大に達する。Loriらは、c-di-GMPが、CtrAの活性に影響を及ぼすことによって、C. crescentusの細胞周期進行を制御することを見出した。精製タンパク質を用いたin vitroアッセイでは、c-di-GMPがCckAに直接結合して、キナーゼ活性を阻害し、ホスファターゼ活性を刺激することが示された。in vivo実験では、G1期からS期への(運動性から固着性への)移行時のc-di-GMP存在量増加により、CckA活性のバランスが変化して、細胞周期進行が促進されることが示された。C. crescentusの分裂時には、鞭毛極ではCckAのキナーゼ活性が優勢、ストーク極ではホスファターゼ活性が優勢であり、その結果として、染色体重複がストーク極で選択的に発生する、複製の非対称性と呼ばれる遺伝的現象が生じる。複製の非対称性にはc-di-GMPも必要であり、著者らは、c-di-GMPの空間的に制限された生合成と代謝が、機能的に異なる2つのCckAプールの構築または維持に関与すると提唱している。したがって、真核生物のサイクリンのように、細菌においてはc-di-GMPが細胞分裂と細胞分化を調整する。

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2015年7月21日号

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