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GRK2の誘導性の遺伝学的除去による食事性肥満およびインスリン抵抗性からの回復

Reversal of diet-induced obesity and insulin resistance by inducible genetic ablation of GRK2

Research Article

Sci. Signal. 21 Jul 2015:
Vol. 8, Issue 386, pp. ra73
DOI: 10.1126/scisignal.aaa4374

Rocio Vila-Bedmar,1,2 Marta Cruces-Sande,1,2* Elisa Lucas,1,2* Hanneke L. D. M. Willemen,3 Cobi J. Heijnen,3,4 Annemieke Kavelaars,3,4 Federico Mayor Jr.,1,2† Cristina Murga1,2†

1 Centro de Biología Molecular Severo Ochoa (CSIC-UAM), Madrid 28049, Spain.
2 Instituto de Investigación Sanitaria La Princesa, Madrid 28006, Spain.
3 Laboratory of Neuroimmunology and Developmental Origins of Disease, University Medical Center Utrecht, Utrecht 3584 EA, Netherlands.
4 Laboratory of Neuroimmunology, Division of Internal Medicine, Department of Symptom Research, The University of Texas MD Anderson Cancer Center, Houston, TX 77030, USA.

* These authors contributed equally to this work.

† Corresponding author. E-mail: cmurga@cbm.csic.es (C.M.); fmayor@cbm.csic.es (F.M.)

要約 インスリン抵抗性は肥満の一般的な特徴であり、人々を高頻度に認められる種々の病的状態にしやすくする。Gタンパク質(ヘテロ三量体のグアニンヌクレオチド結合タンパク質)共役受容体キナーゼ2(GRK2)は複数のシグナル伝達経路を統合しており、インスリンシグナル伝達の生理学的に重要な阻害因子として注目を集めている。メタボリックシンドロームのヒトおよびインスリン抵抗性の多様なマウスモデルにおいて、GRK2の存在量が増加している。2型糖尿病および肥満における薬物標的候補としてのGRK2を支持するため、われわれは、高脂肪食肥満およびインスリン抵抗性とした後にタモキシフェンによりGRK2を除去したマウスモデルを用いて、GRK2存在量の減少が、進行中の全身性インスリン抵抗性の表現型を元に戻すか否かを検討した。タモキシフェンによるGRK2の欠失は、さらなる体重増加を妨げ、空腹時血糖を正常化し、耐糖能を改善し、骨格筋および肝臓におけるインスリン感受性の保持と関連しており、それにより全身のグルコース恒常性を維持していた。さらに、高脂肪食の給餌を続けたとき、これらの動物では脂肪量が減少し、脂肪細胞が縮小し、脂肪肝の発生に対して抵抗性となり、肝臓の炎症性マーカーの発現が低下した。われわれの結果は、GRK2が多様な組織の代謝機能を制御するハブとして働き、in vivoにおいてインスリン抵抗性の発現の制御に重要であることを示している。これらのデータは、GRK2を阻害することで、確立されたインスリン抵抗性および肥満の表現型が元に戻る可能性があることを示唆し、したがってこの酵素は、グルコース恒常性および脂肪蓄積の調節に結びつく治療標的候補であると考えられる。

Citation: R. Vila-Bedmar, M. Cruces-Sande, E. Lucas, H. L. D. M. Willemen, C. J. Heijnen, A. Kavelaars, F. Mayor Jr., C. Murga, Reversal of diet-induced obesity and insulin resistance by inducible genetic ablation of GRK2. Sci. Signal. 8, ra72 (2015).

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