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代謝
セルピンB1がインスリン感受性を改善する

METABOLISM
SerpinB1 improves insulin sensitivity

Editor's Choice

Sci. Signal. 19 Jan 2016:
Vol. 9, Issue 411, pp. ec10
DOI: 10.1126/scisignal.aaf2512

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

A. El Ouaamari, E. Dirice, N. Gedeon, J. Hu, J.-Y. Zhou, J. Shirakawa, L. Hou, J. Goodman, C. Karampelias, G. Qiang, J. Boucher, R. Martinez, M. A. Gritsenko, D. F. De Jesus, S. Kahraman, S. Bhatt, R. D. Smith, H.-D. Beer, P. Jungtrakoon, Y. Gong, A. B. Goldfine, C. W. Liew, A. Doria, O. Andersson, W.-J. Qian, E. Remold-O’Donnell, R. N. Kulkarni, SerpinB1 promotes pancreatic β cell proliferation. Cell Metab. 23, 194–205 (2016). [PubMed]

A. I. Tarasov, P. Rorsman, Dramatis personae in β-cell mass regulation: Enter SerpinB1. Cell Metab. 23, 8–10 (2016). [Online Journal]

 膵β細胞は、血漿グルコース濃度の急激な変化に応答してインスリンの分泌を調整する。また、膵β細胞はその活性や細胞数、またはその両方を調整することによってインスリン感受性の長期的変化を代償する(Tarasov and Rorsman参照)。肝インスリン受容体ノックアウト(LIRKO)マウスは、インスリン抵抗性であるだけでなく、肝臓から放出される因子に依存してβ細胞過形成を呈する。El Ouaamariらは、プロテオミクスの手法を用いて、プロテアーゼ阻害薬セルピンB1の存在量がLIRKOマウス由来の肝臓抽出物、肝臓外植片馴化培地、および血清中で野生型マウスより多いことを見出した。2型糖尿病のリスク因子を有するヒト患者では、セルピンB1の存在量はインスリン感受性と逆の相関を示した。マウスおよびヒトの培養膵島では、遺伝子組換えヒトセルピンB1は用量依存的にβ細胞の増殖を促進した。エラスターゼはセルピンB1によって阻害されるプロテアーゼであり、エラスターゼ活性を阻害しない形態のセルピンB1はマウス培養β細胞の増殖を促進しなかった。エラスターゼを阻害する化合物も、マウス培養β細胞の増殖を促進した。マウスでは、エラスターゼ阻害薬は内在性β細胞とヒト膵島移植片のβ細胞の両方の増殖を促進した。さらに、ゼブラフィッシュ(zebrafish)胚でserpinb1を過剰発現させると、β細胞切除後のβ細胞の再生が増加した。いくつかの急性および慢性インスリン抵抗性モデルでは、serpinb1ノックアウトマウスは野生型対照マウスに比べてβ細胞の増殖が減少した。ただし、β細胞の増殖はserpinb1ノックアウトで消失したわけではなかったことから、別の因子がβ細胞の代償性増殖を誘導している可能性が示唆される。ホスホプロテオミクス解析では、マウス培養β細胞をヒトセルピンB1で処理すると、細胞の増殖と生存を促進するいくつかの経路を介したシグナル伝達が亢進されることが示された。Tarasov and Rorsmanによるコメンタリーでは、これらの知見の臨床での活用方法が考察されている。

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2016年1月19日号

Editor's Choice

代謝
セルピンB1がインスリン感受性を改善する

Research Article

プリン作動性P2Y6受容体はアンジオテンシンAT1受容体とヘテロ二量体を形成してアンジオテンシンII誘発性高血圧を促進する

ESCRTタンパク質はサイトカイン受容体を輸送することにより構成的NF-κBシグナル伝達を制限する

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