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ブラシノステロイドシグナル伝達における可逆的アセチル化

Reversible acetylation in brassinosteroid signaling

Editor's Choice

Sci. Signal. 20 Sep 2016:
Vol. 9, Issue 446, pp. ec215
DOI: 10.1126/scisignal.aaj2311

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

Y. Hao, H. Wang, S. Qiao, L. Leng, X. Wang, Histone deacetylase HDA6 enhances brassinosteroid signaling by inhibiting the BIN2 kinase. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 113, 10418–10423 (2016). [PubMed]

要約  植物は、哺乳類のキナーゼ、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3(GSK-3)のホモログを有し、そのうちの1つであるBIN2は、ブラシノステロイド(BR)応答性転写因子BES1およびBZR1をリン酸化して阻害することにより、BRシグナル伝達を制限する。Haoらは、BIN2と共免疫沈降するタンパク質の質量分析スクリーニングにおいて、脱アセチル化酵素HDA6を同定し、二分子蛍光相補アッセイおよびアフィニティープルダウンアッセイにおいて、これら2つのタンパク質が相互作用することを示し、トランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)に由来する、タグ付き過剰発現型のBIN2とHDA6を共免疫沈降させた。in vitroキナーゼアッセイでは、BIN2がHDA6に対してキナーゼ活性をもたないことが示された。タグ付きBIN2を大腸菌(Escherichia coli)または植物に発現させると、このタンパク質のアセチル化が検出され、HDA6の共発現により、アセチル化BIN2の量は減少した。脱アセチル化酵素活性を薬理学的に阻害すると、短い胚軸表現型が生じ、これはBR欠損またはBIN2活性の亢進と一致し、成長培地に糖を添加することによりレスキューされた。HDA6を過剰発現するトランスジェニック植物またはHDA6をノックアウトした植物の解析により、HDA6がBRシグナル伝達を促進することが示された。しかし、BRに関連する表現型は、植物を糖制限培地で成長させた場合、またはBR欠損植物でのみ認められた。機能獲得型変異体bin1-2との遺伝的相互作用は、HDA6がBIN2を阻害することと一致した。質量分析により、大腸菌に発現するタンパク質においてアセチル化されるBIN2内の部位として、Lys189が同定された。この残基がArgに変異したBIN2(BIN2K189R)には、in vitroでキナーゼ活性の低下が認められた。BIN2K189Rまたはbin2-1K189R を発現するトランスジェニック植物には、この変異酵素の活性の低下に一致する、表現型と生化学的および細胞の事象(BRに調節される転写因子のリン酸化状態、BR依存性標的遺伝子の発現)が認められた。著者らは、HDA6が、BIN2を脱アセチル化させ、栄養状態をBR経路と統合させることによって、BRシグナル伝達を増強する可能性があると提唱している。

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