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ロイシンセンサーSestrin2のアポ構造は依然として捉えがたい

The apo-structure of the leucine sensor Sestrin2 is still elusive

Research Article

Sci. Signal. 20 Sep 2016:
Vol. 9, Issue 446, pp. ra92
DOI: 10.1126/scisignal.aah4497

Robert A. Saxton1,2,3,4,5, Kevin E. Knockenhauer1,*, Thomas U. Schwartz1,†, and David M. Sabatini1,2,3,4,5,†

1 Department of Biology, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA 02139, USA.
2 Whitehead Institute for Biomedical Research, 9 Cambridge Center, Cambridge, MA 02142, USA.
3 Howard Hughes Medical Institute, Cambridge, MA 02139, USA.
4 Koch Institute for Integrative Cancer Research, 77 Massachusetts Avenue, Cambridge, MA 02139, USA.
5 Broad Institute of Harvard and Massachusetts Institute of Technology, 415 Main Street, Cambridge, MA 02142, USA.

† Corresponding author. Email: sabatini@wi.mit.edu (D.M.S.); tus@mit.edu (T.U.S.)

* Present address: Novartis Institutes for BioMedical Research, 250 Massachusetts Avenue, Cambridge, MA 02139, USA.

要約

Sestrin2は、GATOR2と相互作用するタンパク質であり、ロイシンと直接結合し、ロイシン欠乏下でのmTORC1阻害に必要であることから、mTORC1経路におけるロイシンセンサーであることが示唆されている。われわれは最近、ロイシンと複合体を形成した状態のSestrin2の構造を報告し[Protein Data Bank(PDB)ID:5DJ4]、ロイシン結合ポケットの変異によってSestrin2のロイシンとの親和性が変化し、その変化に応じて細胞内でのmTORC1のロイシン感受性も変化することを示した。一方、外来性ロイシン非存在下で結晶化されたヒトSestrin2の比較的分解能の低い構造解析結果(PDB ID:5CUF)では、Sestrin2の高次構造が、ロイシンと結合した状態とほぼ同一であることが示された。この観察に基づき、ロイシンとの結合はSestrin2の高次構造に影響せず、Sestrin2はロイシンセンサーではない可能性があるという主張がなされている。われわれは、この報告されたSestrin2のアポ構造[訳注:基質と結合していない状態の構造]について簡易解析を行ったところ、より分解能の高い構造解析で観察された、まさにロイシンを内包するロイシン結合ポケット内にモデル化されていない顕著な電子密度がはっきりと存在することが明らかになったことを本稿で示す。報告されたアポ構造にロイシンを添えて精密化すると、この部位で大きかったFobs-Fcalcの密度差が解消され、モデルのRworkRfreeの値も改善された。この結果と一致して、われわれが独自に外因性ロイシン非存在下で結晶化させたSestrin2の構造解析結果でも、ロイシンの存在によって最もよく説明のつく電子密度が認められた。このように、Sestrin2のアポ構造は依然として捉えがたい。

Citation: Citation: R. A. Saxton, K. E. Knockenhauer, T. U. Schwartz, D. M. Sabatini, The apostructure of the leucine sensor Sestrin2 is still elusive. Sci. Signal. 9, ra92 (2016).

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