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新たなつながり:腫瘍特異的なシグナル伝達を検出する

New connections: Detecting tumor-specific signaling

Editor's Choice

Sci. Signal. 11 Oct 2016:
Vol. 9, Issue 449, pp. ec233
DOI: 10.1126/scisignal.aal1624

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

A. J. Simmons, C. R. Scurrah, E. T. McKinley, C. A. Herring, J. M. Irish, M. K. Washington, R. J. Coffey, K. S. Lau, Impaired coordination between signaling pathways is revealed in human colorectal cancer using single-cell mass cytometry of archival tissue blocks. Sci. Signal. 9, rs11 (2016). [Abstract]

D. R. Croucher, M. Iconomou, J. F. Hastings, S. P. Kennedy, J. Z. R. Han, R. F. Shearer, J. McKenna, A. Wan, J. Lau, S. Aparicio, D. N. Saunders, Bimolecular complementation affinity purification (BiCAP) reveals dimer-specific protein interactions for ERBB2 dimers.Sci. Signal. 9, ra69 (2016). [Abstract]

M. A. Smith, R. Hall, K. Fisher, S. M. Haake, F. Khalil, M. B. Schabath, V. Vuaroqueaux, H.-H. Fiebig, S. Altiok, Y. A. Chen, E. B. Haura, Annotation of human cancers with EGFR signaling–associated protein complexes using proximity ligation assays. Sci. Signal. 8, ra4 (2015). [Abstract]

要約  科学編集長Michael Yaffeが2013年に指摘したように、研究者は、技術的には容易に同定される、がんにおけるゲノムの差異の先を見据えて、がんの調節不全の挙動を引き起こすシグナル伝達の差異を、詳細に調べるための方法を開発する必要がある。今週号では、Simmonsらが、患者の保存された固定生検組織において、シグナル伝達経路活性の単一細胞レベルの差異を解析するための、FFPE-DISSECTと呼ばれる手法を説明している。著者らは、この方法を大腸がん患者の結腸生検検体に用いて、増殖性の結腸陰窩のさまざまな細胞における異なるシグナル伝達プロファイルと、悪性の陰窩細胞におけるプロファイルの変化を同定した。この手法は、組織検体のレポジトリに用いられ、さまざまながんにおける細胞不均一性を明らかにすることができるだけでなく、患者の疾患の特性解析を行うための手段として、個別化治療戦略を可能にすることもできる。2016年7月12日号では、Croucherらが、受容体チロシンキナーゼのさまざまな二量体によって仲介されるシグナル伝達の、分子レベルでのシグナル伝達多様性を検討する手法を示している。Croucherらの手法は、コンホメーション特異的なナノボディを、アフィニティ精製を含むタンパク質断片相補アッセイと組み合わせたもので、二分子相補アフィニティ精製(BiCAP)と呼ばれる。乳がん細胞にBiCAPを用いると、上皮成長因子受容体(EGFR)ファミリーメンバーであるERBB2が、EGFRまたはERBB3と二量体を形成した場合に調節される、異なるシグナル伝達経路が明らかになった。タンパク質パートナーの変化は、疾患または薬剤耐性に関与する可能性があるため、この手法は、特異的なタンパク質間相互作用ネットワークに仲介されるシグナルを、患者の治療に活用する方法を検討するための方法となる。Smithらも、ヒトがん生検組織においてEGFRシグナル伝達を検討しており、この場合は、近接ライゲーションアッセイ(PLA)を用いて、EGFRがそのシグナル伝達アダプターであるGRB2に近接している時点を検出した。EGFR:GRB2 PLAにより、この受容体に変異がない腫瘍におけるEGFRシグナル伝達の亢進が検出されたが、このような変化は遺伝子解析では検出不可能であったと考えられる。さらに、EGFR阻害剤に対する治療反応性が予測された。これら3報の論文は、治療戦略を最適化し個別化するためには、がん細胞における遺伝子の差異だけでなく、シグナル伝達の差異も評価することが有利であることを明らかにしている。

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2016年10月11日号

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新たなつながり:腫瘍特異的なシグナル伝達を検出する

Research Article

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