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ハイライト:がんにおけるRNA結合タンパク質

Highlight: RNA-binding proteins in cancer

Editor's Choice

Sci. Signal. 19 Sep 2017:
Vol. 10, Issue 497, eaap9424
DOI: 10.1126/scisignal.aap9424

Michael B. Yaffe

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA; David H. Koch Institute for Integrative Cancer Research, MIT, Cambridge, MA 02139, USA

E. M. Amin, Y. Liu, S. Deng, K. S. Tan, N. Chudgar, M. W. Mayo, F. Sanchez-Vega, P. S. Adusumilli, N. Schultz, D. R.Jones, The RNA-editing enzyme ADAR promotes lung adenocarcinoma migration and invasion by stabilizing FAK.Sci. Signal. 10, eaah3941 (2017). Abstract/FREE Full Text  Google Scholar

ADARはFAKの安定化を通して肺腺がん細胞の遊走と浸潤を促進する。

要約
がんの進行と治療効果の調節因子としてRNA結合タンパク質(RNA-BP)の関与を示唆した論文や総説の数が増えつつある。本誌、今週号では、Aminと共同研究者らが、ステージ1の肺腺がん患者においてRNA-BP ADAR1(二本鎖RNAに作用するアデノシンデアミナーゼの1アイソフォーム)をコードする遺伝子の腫瘍細胞による発現が腫瘍の再発、進行および予後不良と相関することを明らかにしている。特筆すべきは、ADAR1の発現が肺腺がん細胞におけるアクチン細胞骨格、侵襲性および間葉系表現型を調節している、ということであった。その基礎にある分子機構には、ADAR1を介した、細胞質の細胞骨格キナーゼFAKのイントロン内にある重要なアデノシンをイノシンに変換するmRNAの編集、その結果として生じるFAK mRNAの安定化とFAK活性レベルの亢進が関与していることが明らかとなった。ADAR1ノックダウン細胞の侵襲性のほとんどは外因性のFAKの発現によって回復することができ、FAKは腫瘍細胞の遊走と転移を制御できる重要なADAR1標的の1つであることが確認された。イントロンの編集というイベントを通じたFAK mRNAの安定化の亢進が、そのスプライシングも亢進するか否かは、直接検討していなかった。特定のRNA-BPを肺がんの臨床転帰と関連付けた本稿は、RNA-BPが腫瘍生物学の重要な制御因子であるという新たなエビデンスを加えている。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

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2017年9月19日号

Editor's Choice

ハイライト:がんにおけるRNA結合タンパク質

Research Article

RNA編集酵素ADARはFAKを安定化することによって肺腺がんの遊走と浸潤を促進する

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