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ERファジーによるストレスの緩和
ER-phagy to alleviate stress
Sci. Signal. 06 Feb 2018:
Vol. 11, Issue 516, eaat1772
DOI: 10.1126/scisignal.aat1772
Annalisa M. VanHook
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
M. D. Smith, M. E. Harley, A. J. Kemp, J. Wills, M. Lee, M. Arends, A. von Kriegsheim, C. Behrends, S. Wilkinson, CCPG1 is a non-canonical autophagy cargo receptor essential for ER-phagy and pancreatic ER proteostasis. Dev. Cell 44,217-232.e11 (2017).
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N. Mizushima, A dual binding receptor for ER-phagy. Dev. Cell 44, 133-135 (2018).
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小胞体の選択的オートファジーが膵臓の分泌細胞を保護する。
要約
選択的オートファジーにより、細胞からタンパク質凝集体、病原体、および破損/機能不全となった細胞小器官が除去される。この過程は、分解対象物と、オートファゴソーム形成を駆動する装置の両方に結合するカーゴ受容体が媒介する。小胞体の選択的分解(ERファジー)のためのカーゴ受容体が少数同定されているが、小胞体オートファジーの生理的役割は依然として不明である(Mizushimaの論文参照)。Smithらはin vitro実験を行い、培養肺がん細胞の小胞体とオートファゴソームの間で、小胞体に存在するタンパク質であるcell cycle progression gene 1(CCPG1)が輸送され、オートファゴソームの形成部位に動員されるFIP200とATG8の両タンパク質に結合することを見出した。小胞体ストレスおよび折りたたみ不全タンパク質(小胞体ストレス)応答を誘導する薬物は、Hela細胞において、内因性CCPG1およびオートファジー機構の構成要素であるATG5に依存して、周辺の小胞体内容物を減少させ、小胞体オートファジーを促進した。膵臓の腺房細胞は大量の消化酵素を産生し分泌するため、これらは特に小胞体ストレスに感度が高い。著者らはCcpg1ノックアウトマウスの膵臓を調べ、これらの器官が不溶性タンパク質の不透明な塊で満たされていることを見出した。Ccpg1欠損マウスの腺房細胞は野生型マウスに比べてタンパク質凝集体を多く含み、小胞体の形態に欠損が認められた。これらの凝集体は主に、小胞体で合成される分泌型タンパク質、および小胞体内でのタンパク質の処理に重要な小胞体内腔タンパク質を含んでいた。これらの所見から、ERファジーのためのカーゴ受容体としてのCCPG1が確認され、また膵臓の腺房細胞における小胞体のタンパク質恒常性にERファジーが生理的に重要であることが実証された。このことは、骨芽細胞や杯細胞など他の分泌細胞種においてもERファジーが重要な役割を果たしている可能性を示唆している。