• ホーム
  • ハイライト:イオンチャネル-キナーゼTRPM7の独特な機能

ハイライト:イオンチャネル-キナーゼTRPM7の独特な機能

Highlight: Distinct functions of the ion channel-kinase TRPM7

Editor's Choice

Sci. Signal. 05 Jun 2018:
Vol. 11, Issue 533, eaau3545
DOI: 10.1126/scisignal.aau3545

Erin Williams

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

M. Krishnamoorthy, F. H. M. Buhari, T. Zhao, P. M. Brauer, K. Burrows, E. Y. Cao, V. Moxley-Paquette, A. Mortha,J. C. Zúñiga-Pflücker, B. Treanor, The ion channel TRPM7 is required for B cell lymphopoiesis. Sci. Signal. 11,eaan2693 (2018).
Abstract/FREE Full Text  Google Scholar

M. Krishnamoorthy, L. Wasim, F. H. M. Buhari, T. Zhao, T. Mahtani, J. Ho, S. Kang, F. Deason-Towne, A.-L.Perraud, C. Schmitz, B. Treanor, The channel-kinase TRPM7 regulates antigen gathering and internalization in B cells. Sci. Signal. 11, eaah6692 (2018).
Abstract/FREE Full Text  Google Scholar

本誌今週号の2件の研究から、B細胞において個々の機能を制御しているイオンチャネル-キナーゼTRPM7の、独特な活性が確認された。

要約

一過性受容体電位サブファミリーMメンバー7(TRPM7)は、キナーゼドメインも含むまれな二価カチオンチャネルである。種々の免疫細胞種における細胞性Mg2+バランスの維持に重要であるこのチャネル-キナーゼは、細胞の生存、遊走およびエフェクター機能を制御している。本誌今週号の2報の論文は、種々のB細胞の機能に対するTRPM7イオンチャネルとキナーゼ活性の別々の寄与に注目している。B細胞の分化におけるTRPM7の役割を明らかにするため、KrishnamoorthyらはB細胞系列で特異的にTRPM7を欠損しているマウスについて分析した。その結果、TRPM7の欠損はB細胞の前駆細胞の分化を遮断し、その結果として成熟末梢B細胞を完全に欠如させるが、このキナーゼ活性の消失にはそのような働きがないことを見出した。B細胞の分化に関するin vitroモデルでは、細胞外Mg2+の添加はTRPM7欠損の影響を部分的にレスキューし、このことはTRPM7のイオンチャネル活性が必要であることを示唆していた。
一方、KrishnamoorthyらはB細胞系列および成熟B細胞の分析に全反射照明蛍光(TIRF)顕微鏡を用い、TRPM7のキナーゼ活性は、B細胞受容体(BCR)を介した抗原認識の第一段階に重要なアクチン動態を制御することを見出した。B細胞がその特異的抗原に遭遇したとき、これは抗原に結合したBCRを、シグナル伝達を促進するクラスタに集結させ、それによってT細胞の提示に必要な抗原の内部移行が生じる。TRPM7またはTRPM7キナーゼ活性を欠損しているB細胞では、より多く抗原が細胞表面に蓄積し、より強いBCR依存性シグナル伝達を活性化していた。このことは、抗原の集結におけるTRPM7キナーゼ活性の役割を示唆している。とはいえ、キナーゼ活性の欠損は、BCRを介した抗原の内部移行を抑制せず、TRPM7のイオン動態も内部移行にも重要である可能性を示唆していた。実際、TRPM7イオンチャネル活性の阻害剤は、抗原の内部移行およびT細胞への提示を抑制した。まとめるとこれらの研究は、TRPM7の別個の機能が、分化および機能に不可欠なB細胞系列の特異的活性を制御していることを示唆している。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2018年6月5日号

Editor's Choice

ハイライト:イオンチャネル-キナーゼTRPM7の独特な機能

Research Article

イオンチャネルTRPM7はB細胞リンパ球新生に必要である

チャネル・キナーゼTRPM7はB細胞の抗原集結と内部移行を調節する

Lglは、Vap33とV-ATPアーゼ複合体の相互作用を促進することにより、エンドソーム小胞酸性化およびNotchシグナル伝達を抑制する

K63結合型ポリユビキチン鎖はDNAと結合してDNA損傷修復を促進する

最新のEditor's Choice記事

2024年2月27日号

ccRCCでTBK1を遮断する方法

2024年2月20日号

密猟者がT細胞内で森の番人に転身した

2024年2月13日号

RNAが厄介な状況を生み出す

2024年2月6日号

細胞外WNT伝達分子

2024年1月30日号