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新たなつながり:B細胞代謝の再プログラミング
New connections: Reprogramming B cell metabolism
Sci. Signal. 26 Jun 2018:
Vol. 11, Issue 536, eaau5589
DOI: 10.1126/scisignal.aau5589
John F. Foley
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
C. Tsui, N. Martinez-Martin, M. Gaya, P. Maldonado, M. Llorian, N. M. Legrave, M. Rossi, J. I.MacRae, A. J. Cameron, P. J. Parker, M. Leitges, A. Bruckbauer, F. D. Batista, Protein kinase C-β dictates B cell fate by regulating mitochondrial remodeling, metabolic reprogramming, and heme biosynthesis. Immunity 48, 1144-1159.e5 (2018).
Google Scholar
P. Mendoza, N. Martínez-Martín, E. R. Bovolenta, D. Reyes-Garau, P. Hernansanz-Agustín, P.Delgado, M. D. Diaz-Muñoz, C. L. Oeste, I. Fernández-Pisonero, E. Castellano, A. Martínez-Ruiz, D.Alonso-Lopez, E. Santos, X. R. Bustelo, T. Kurosaki, B. Alarcón, R-Ras2 is required for germinal center formation to aid B cells during energetically demanding processes. Sci. Signal. 11, eaal1506(2018).
Abstract/FREE Full Text Google Scholar
有効な免疫応答には、B細胞代謝の2つの重要な調節因子が必要
要約
感染応答には適応免疫系のB細胞による抗体の分泌が重要である。同種B細胞受容体(BCR)を介して抗原により活性化されたB細胞は、抗体分泌形質細胞に分化するか、または二次リンパ器官内で胚中心(GC)と呼ばれる構造に移行し、そこでより高い親和性をもつ抗体の産生に至る変化を受ける。これらの反応は多量のエネルギーを必要とする。プロテインキナーゼCのβアイソフォーム(PKCβ)はB細胞に豊富に含まれ、BCR下流の増殖シグナル伝達を媒介している。TsuiらはPKCβ-欠損B細胞を有するマウスにおいて、GCの形成および形質細胞の産生が認められないことを明らかにした。GC反応の重要な要素であるヘルパーT細胞への抗原提示について、PKCβ-欠損B細胞は野生型B細胞に比べ効率が低かった。さらに、B細胞におけるPKCβの欠損により、エネルギー制御性キナーゼ複合体であるmTORC1の活性化が低下し、その結果として代謝およびミトコンドリアリモデリングの欠損が生じ、形質細胞の分化が障害された。さらにMendozaらは本誌Archivesにおいて、マウスのGTPase R-Ras2を欠損するB細胞は、増殖してGC反応を受けることができないことを明らかにした。R-Ras2は、BCRと共刺激タンパク質CD40の両方の下流にあった。B細胞におけるR-Ras2の欠損は、PI3K-Akt-mTORC1経路の活性化を阻害し、ミトコンドリアDNAの複製を抑制し、糖代謝に必要な遺伝子の発現を低下させた。まとめるとこれらの研究は、有効な抗体応答を開始するために必要な、B細胞の代謝的再プログラミングを媒介する2つの重要な因子を明らかにしている。