インフラマソームのSUMO化

Inflammasome SUMOylation

Editor's Choice

Sci. Signal. 14 Aug 2018:
Vol. 11, Issue 543, eaau2212
DOI: 10.1126/scisignal.aau2212

Erin R. Williams

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

R. Barry, S. W. John, G. Liccardi, T. Tenev, I. Jaco, C.-H. Chen, J. Choi, P. Kasperkiewicz, T. Fernandes-Alnemri,E. Alnemri, M. Drag, Y. Chen, P. Meier, SUMO-mediated regulation of NLRP3 modulates inflammasome activity.Nat. Commun. 9, 3001 (2018).
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NLRP3インフラマソームの活性は、SUMO化によって阻害される。

要約

インフラマソームは、細胞の感染またはストレスによって活性化される、自然免疫シグナル伝達複合体である。アダプタータンパク質ASCに結合した異なる細胞内センサーで構成されるインフラマソームは、炎症性サイトカインであるインターロイキン-1β(IL-1β)とIL-18の、カスパーゼ-1を介した成熟を促進する。新たな研究結果から、リン酸化やユビキチン化などの翻訳後修飾によって、インフラマソームの活性が調節される可能性が示唆されている。Barryらは、インフラマソーム構成成分NLRP3へのSUMOタンパク質の可逆的共有結合(SUMO化)によっても、インフラマソームの活性が阻害されることを見出した。非刺激マウスマクロファージおよび293T細胞において、NLRP3は基本的にSUMO-2/3修飾されていた。表面に露出したSUMOアクセプターリジン残基を変異させると、293T細胞インフラマソーム再構成系においてNLRP3を介するカスパーゼ-1活性化が増強された。NLRP3のSUMO化は、ミトコンドリアに局在するSUMO E3リガーゼであるMAPLによって仲介された。NLRP3インフラマソームを活性化する微生物毒素ニゲリシンで処理した骨髄由来マクロファージにおいて、MAPLをノックダウンすると、カスパーゼ-1の活性とIL-1βの産生が増加した。逆に、脱SUMO化酵素Senp6およびSenp7をノックダウンすると、ASCのオリゴマー化、カスパーゼ-1の活性化、IL-1βの放出が減少した。野生型マクロファージをニゲリシンで処理すると、SUMO化NLRP3の存在量が低下した。これらのデータから、NLRP3のSUMO化によりインフラマソームの活性が阻害されること、また、この翻訳後修飾そのものが、微生物認識によって制限される可能性があることが示唆される。

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2018年8月14日号

Editor's Choice

インフラマソームのSUMO化

Research Article

分裂期のリン酸化はATPの結合を基質の遊離から脱共役させることによってHsp72の紡錘体への局在を調節する

GABAA/B 受容体とTRPV4チャネルの機能的共役が輸卵管における速やかなプロゲステロンのシグナル伝達を媒介する

Research Resources

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