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ウイルス感染のRBPオミクス
The RBPomics of viral infection
Sci. Signal. 05 Mar 2019:
Vol. 12, Issue 571, eaau2216
DOI: 10.1126/scisignal.aau2216
Erin R. Williams
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
M. Garcia-Moreno, M. Noerenberg, S. Ni, A. I. Järvelin, E. González-Almela, C. E. Lenz, M. Bach-Pages, V. Cox,R. Avolio, T. Davis, S. Hester, T. J. M. Sohier, B. Li, G. Heikel, G. Michlewski, M. A. Sanz, L. Carrasco, E. P. Ricci,V. Pelechano, I. Davis, B. Fischer, S. Mohammed, A. Castello, System-wide profiling of RNA-binding proteins uncovers key regulators of virus infection. Mol. Cell 10.1016/j.molcel.2019.01.017 (2019).
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システム解析によって、シンドビスウイルス感染にはRNA結合タンパク質が不可欠であることが示されている。
要約
ウイルスが感染すると全般的なmRNAの翻訳停止が促され、ウイルス核酸の検出によって細胞性自然免疫が活性化される。シンドビスウイルス(SINV)感染によって変化するRNA結合タンパク質(RBP)を同定するために、Garcia-Morenoらは、比較RNAインタラクトーム捕捉(comparative RNA-interactome capture:cRIC)と細胞培養中のアミノ酸による安定同位体標識(stable isotope labeling by amino acids in culture:SILAC)の2つの定量的プロテオミクス手法を組み合わせた。未感染の細胞またはSINVを感染させて4または18時間放置した細胞を、異なる同位体で標識し、UV架橋と細胞溶解の後、RBPをオリゴ(dT)で捕捉し、定量的質量分析法により分析した。著者らは、RBPのほぼ30%の活性が、SINV感染によって遅いほうの時点で変化し、これは細胞内RNAの量と相関したが、リボ核タンパク質(RNP)存在量の変化とは相関しないことを見出した。SINVによって活性が変化したRBP 247個のうち、160個は感染における役割が知られていない。さらに、翻訳に関与するRBP 24個の活性がSINV感染によって増加したことから、感染はリボザイムの構成を変化させる可能性が示唆される。著者らは、エキソヌクレアーゼXRN1が、デングウイルス感染における役割とは対照的に、SINV感染を促進すること、また、低分子リボ核タンパク質複合体会合因子GEMIN5が、SINVのゲノムに結合することも示した。この研究では、種々のキナーゼ、E3ユビキチンリガーゼ、シャペロンの関与も明らかにされており、翻訳後制御もSINV感染細胞におけるRBPの調節に寄与することが示された。