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興奮性ニューロン特異的なSHP2-ERKシグナル伝達ネットワークがシナプスの可塑性と記憶を調節する

Excitatory neuron-specific SHP2-ERK signaling network regulates synaptic plasticity and memory

Research Article

Sci. Signal. 05 Mar 2019:
Vol. 12, Issue 571, eaau5755
DOI: 10.1126/scisignal.aau5755

Hyun-Hee Ryu1,2,*, TaeHyun Kim3,*, Jung-Woong Kim2,*, Minkyung Kang1,4, Pojeong Park3, Yong Gyu Kim1,4, Hyopil Kim3, Jiyeon Ha1, Ja Eun Choi3, Jisu Lee3, Chae-Seok Lim5, Chul-Hong Kim2, Sang Jeong Kim1,4,6, Alcino J. Silva7, Bong-Kiun Kaang3, and Yong-Seok Lee1,4,6,†

1 Department of Physiology, Seoul National University College of Medicine, Seoul 03080, Korea.
2 Department of Life Science, Chung-Ang University, Seoul 06974, Korea.
3 School of Biological Sciences, College of Natural Sciences, Seoul National University, Seoul 08826, Korea.
4 Department of Biomedical Sciences, Seoul National University College of Medicine, Seoul 03080, Korea.
5 Department of Pharmacology, Wonkwang University School of Medicine, Iksan 54538, Korea.
6 Neuroscience Research Institute, Seoul National University College of Medicine, Seoul 03080, Korea.
7 Department of Neurobiology, Integrative Center for Learning and Memory, Brain Research Institute, University of California Los Angeles, California, CA 90095, USA.

† Corresponding author. Email: yongseok7@snu.ac.kr

* These authors contributed equally to this work.

要約

RASシグナル伝達経路の構成要素の変異は多様な神経発達障害を引き起こし、そのような障害はまとめてRASopathiesと呼ばれている。これまでの研究で、RAS-細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)活性化の調節不全はさまざまなRASopathiesにおいて特徴的な細胞種に限られることが示されている。ヌーナン症候群(NS)の一部の症例には、ホスファターゼSHP2(PTPN11にコードされる)の機能獲得型変異が関連するが、SHP2は複数の細胞種で豊富にみられることから、どの細胞種がNS表現型に寄与しているのかは明らかでない。本稿では、内在性SHP2は興奮性と抑制性の両方の種類のニューロンで発現するものの、マウスにおいて、興奮性海馬ニューロンでNS関連変異体SHP2D61Gを発現させるとERKシグナル伝達が亢進され、長期増強(LTP)と空間記憶の両方が損なわれるが、抑制性海馬ニューロンではそのような作用が認められないことを明らかにした。トランスクリプトーム解析によって、興奮性ニューロンではGAB1やGRB2など、ERKの活性化に不可欠なSHP2相互作用タンパク質をコードする遺伝子が豊富であることが明らかになった。そこで、SHP2D61Gとの相互作用を低下させる変異をもつGAB1のドミナントネガティブ型変異体を興奮性ニューロンで選択的に発現させると、SHP2D61Gに媒介される欠陥が回復した。さらに、GAB1とGRB2をSHP2D61Gと一緒に抑制性ニューロンで異所性に発現させると、ERKが活性化された。これらの結果は、RAS-ERKシグナル伝達ネットワークが興奮性ニューロンと抑制性ニューロンとで著しく異なることを示しており、NSとおそらく他のRASopathiesの細胞種特異的な病態生理学の説明となる。

Citation: H.-H. Ryu, T. Kim, J.-W. Kim, M. Kang, P. Park, Y. G. Kim, H. Kim, J. Ha, J. E. Choi, J. Lee,C.-S. Lim, C.-H. Kim, S. J. Kim, A. J. Silva, B.-K. Kaang, Y.-S. Lee, Excitatory neuron-specific SHP2-ERK signaling network regulates synaptic plasticity and memory. Sci. Signal. 12, eaau5755(2019).

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