細胞ストレスを止める

Turning off cellular stress

Editor's Choice

Sci. Signal. 14 May 2019:
Vol. 12, Issue 581, eaax9738
DOI: 10.1126/scisignal.aax9738

Erin R. Williams

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

B. Wang, B. A. Maxwell, J. H. Joo, Y. Gwon, J. Messing, A. Mishra, T. I. Shaw, A. L. Ward, H. Quan, S. M.Sakurada, S. M. Pruett-Miller, T. Bertorini, P. Vogel, H. J. Kim, J. Peng, J. P. Taylor, M. Kundu, ULK1 and ULK2 regulate stress granule disassembly through phosphorylation and activation of VCP/p97. Mol. Cell10.1016/j.molcel.2019.03.027 (2019). Google Scholar

オートファジーとは独立して、キナーゼULK1/2はストレス顆粒の解消を促進し、骨格筋疾患の発症を防止する。

要約

細胞ストレスは、mRNA翻訳の障害を伴う、膜をもたない構造体の集合を促進し、これはストレス顆粒として知られる。ストレス顆粒の形成は、筋肉、骨、神経系の変性疾患に関連し、それらの疾患はオートファジータンパク質の変異ともつながりがある。Wangらは、マウスにおけるセリン/スレオニンunc-51様オートファジー活性化キナーゼ1(ULK1)およびULK2の低発現によって、歩行が次第に困難になる進行性の骨格筋疾患である封入体ミオパチー(IBM)に類似した疾患が生じることを見出した。野生型マウスと比較して、Ulk1-/-Ulk2+/-マウスでは、握力の低下、正常な筋線維構造の崩壊、筋細胞におけるRNA結合タンパク質TDP-43およびTIA-1の細胞内局在の異常が認められた。これらの影響は、オートファゴソーム形成に必須のユビキチン様修飾因子活性化酵素ATG7を欠損したマウスでは、あまり明らかでなかった。代わりに、免疫プロテオミクスによって、ULK1は、通常はストレス顆粒と結合するいくつかのタンパク質と相互作用する可能性が高いことが明らかになり、免疫蛍光顕微鏡法では、内在性のULK1/2が、マウス胚線維芽細胞および筋芽細胞様C2C12細胞において、熱ショック後にTIA-1+ストレス顆粒に動員されることが示された。ULK1/2活性の薬理学的阻害およびULK1/2のノックダウンにより、熱ショックまたは亜ヒ酸ナトリウム誘導性のストレス顆粒の出現時間が延長した。逆に、ULK1/2アゴニストによって、ヒトU20SおよびHeLa細胞株において、ストレス顆粒の解消が促進された。ストレス顆粒タンパク質に加えて、ULK1はATPaseのVCPとも相互作用し、そのSer13、Ser282およびThr761でのリン酸化を促進した。VCPのこれらの残基をアラニンで置換すると、熱ショック誘導性ストレス顆粒の分解が阻害された。一方、リン酸化を模倣するアスパラギン酸で同じ残基を置換すると、ULK1存在量が低下している場合であっても、ATPase活性とストレス顆粒分解が増強された。これらのデータを総合すると、ULK1/2は、ATPaseのVCPを活性化することによって、ストレス顆粒の分解を促進することが示唆される。この必須のATPaseを直接標的にすることは困難であるため、これらのデータからは、ULK1/2を介する活性化を刺激することが、ミオパチーや、おそらく異常なストレス顆粒の形成に関連するその他の疾患に対しても、有効である可能性が示されている。

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2019年5月14日号

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細胞ストレスを止める

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