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複数のシグナルが状態特異的な転写プログラムを始動させて免疫細胞の多様性と恒常性を維持する

Signals trigger state-specific transcriptional programs to support diversity and homeostasis in immune cells

Research Article

Sci. Signal. 14 May 2019:
Vol. 12, Issue 581, eaao5820
DOI: 10.1126/scisignal.aao5820

Cornelius Fischer1,2,3,*, Maria Metsger1,2,3,4,*, Sophia Bauch1,2, Ramon Vidal1, Michael Böttcher2, Phillip Grote2,5, Magdalena Kliem1,2, and Sascha Sauer1,2,6,†

1 Laboratory of Functional Genomics, Nutrigenomics and Systems Biology, Scientific Genomics Platforms, Max Delbrück Center for Molecular Medicine (BIMSB/BIH), 13092 Berlin, Germany.
2 Max Planck Institute for Molecular Genetics, 14195 Berlin, Germany.
3 Department of Biology, Chemistry, and Pharmacy, Free University of Berlin, 14195 Berlin, Germany.
4 Central European Institute of Technology, Masaryk University, 62500 Brno, Czech Republic.
5 Institute of Cardiovascular Regeneration, Centre for Molecular Medicine, Goethe University, 60590 Frankfurt am Main, Germany.
6 CU Systems Medicine, University of Würzburg, 97080 Würzburg, Germany.

† Corresponding author. Email: sascha.sauer@mdc-berlin.de

* These authors contributed equally to this work.

要約

マクロファージは、ヒトおよび他の哺乳類の免疫系において重要な役割を担う。本稿では、ヒトマクロファージのmRNAとタンパク質の単一細胞解析を行い、グラム陰性細菌の構成要素であるシグナル伝達分子のリポ多糖(LPS)に対する応答と、遊離脂肪酸のパルミチン酸(PAL)に対する応答を比較した。そして、いずれの分子も細胞表面タンパク質Toll様受容体4(TLR4)を介してシグナルを伝達するが、異なる遺伝子の発現を促進させ、それぞれのシグナルに特異的な炎症性または抗炎症性の細胞状態を生むことを明らかにした。LPSシグナル伝達と拮抗するグルココルチコイド受容体とPAL誘導性の炎症を抑制するサイクリックAMP依存性転写因子3が炎症反応に及ぼす影響の大部分は、デジタルなオン・オフのイベントによって決まるようであった。さらに、転写変動とシグナル伝達エントロピーを定量化したことで、細胞状態に特異的な非制御下の分子経路を同定できた。これらのデータは、個々の細胞でシグナル伝達が保存されるおかげで、主要な細胞機能の維持に必要な多様性がマクロファージ集団にもたらされている可能性を示唆している。

Citation: C. Fischer, M. Metsger, S. Bauch, R. Vidal, M. Böttcher, P. Grote, M. Kliem, S. Sauer, Signals trigger state-specific transcriptional programs to support diversity and homeostasis in immune cells. Sci. Signal. 12, eaao5820 (2019).

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