がんとデスドメイン

Cancer and the death domain

Editor's Choice

Sci. Signal. 04 Jun 2019:
Vol. 12, Issue 584, eaay2357
DOI: 10.1126/scisignal.aay2357

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

M. A. Smith, G. S. Choudhary, A. Pellagatti, K. Choi, L. C. Bolanos, T. D. Bhagat, S. Gordon-Mitchell, D. Von Ahrens, K. Pradhan, V. Steeples, S. Kim, U. Steidl, M. Walter, I. D. C. Fraser, A. Kulkarni, N. Salomonis, K.Komurov, J. Boultwood, A. Verma, D. T. Starczynowski, U2AF1 mutations induce oncogenic IRAK4 isoforms and activate innate immune pathways in myeloid malignancies. Nat. Cell Biol. 21, 640-650 (2019). Google Scholar

キナーゼIRAK4の選択的スプライシングアイソフォームにデスドメインが含まれると、白血病負荷が増大する。

要約

急性骨髄性白血病(AML)に進行する可能性がある、骨髄異形成症候群(MDS)患者の約50%に、RNAスプライシング因子遺伝子の変異が認められる。Smithらは、エクソンインクルージョンおよびエクスクルージョン現象を解析し、キナーゼIRAK4をコードするmRNAにエクソン4が含まれることが、MDS患者とAML患者両方の予後の悪化と相関することを見出した。TLRシグナル伝達に応答したIRAK4と足場タンパク質MyD88の相互作用によって、炎症性転写因子である核内因子κB(NF-κB)が活性化される。長いIRAK4アイソフォーム(IRAK4-L)には、短いアイソフォーム(IRAK4-S)には存在しないN末端のデスドメインが含まれていた。HEK細胞では、IRAK4-Lの発現によって、IRAK4-Sを発現させた場合よりも大きくNF-κB活性化が増強された。AML細胞株において、MyD88はIRAK4-Lと免疫共沈降したが、IRAK4-Sとは免疫共沈降しなかった。IRAK4-LをノックダウンしたTHP1細胞ではコロニー形成が少なくなり(前駆細胞機能低下の指標)、この細胞をマウスに異種移植した場合には、白血病負荷が低下した。この効果は、両方のIRAK4アイソフォームを発現するTHP1細胞を異種移植したマウスに、IRAK4阻害剤を投与することによって再現された。エクソン4の IRAK4 へのインクルージョンは、RNAスプライシング因子U2AF1をコードする遺伝子の変異と相関した。S34F変異をもつU2AF1の発現によって、HEK細胞では、IRAK4 エクソン4スプライシングを測定するために設計されたレポーターの発現が増加し、K562細胞ではNF-κB活性化が増強された。IRAK4の薬理学的阻害により、U2AF1 S34F変異体を発現するMDSまたはAML患者細胞の生存とコロニー形成能が低下し、変異体を発現するMDS患者細胞を異種移植したマウスでは、生着が低下した。このように、変異U2AF1を介するエクソンインクルージョン現象によってIRAK4にデスドメインが加えられると、NF-κBのMyD88依存性活性化と白血病負荷が増大する。

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