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新たなつながり:神経発生のスイッチ
New connections: Neurodevelopmental switches
Sci. Signal. 30 Jun 2020:
Vol. 13, Issue 638, eabd5218
DOI: 10.1126/scisignal.abd5218
Leslie K. Ferrarelli
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
Z.-Y. Zhang, H.-H. Bai, Z. Guo, H.-L. Li, X.-T. Diao, T.-Y. Zhang, L. Yao, J.-J. Ma, Z. Cao, Y.-X. Li, X. Bai, H.-K. Chen,Z.-W. Suo, X. Yang, X.-D. Hu, Ubiquitination and functional modification of GluN2B subunit-containing NMDA receptors by Cbl-b in the spinal cord dorsal horn. Sci. Signal. 13, eaaw1519 (2020).
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初期発生段階でのニューロンのタンパク質修飾が、痛覚および認知機能を制御する。
要約
胚発生、出生前および出生後の発生段階には、神経系においてのみならず種々の「重要な時期」がある。遺伝子発現の制御異常が神経発生に及ぼす影響について、現在われわれが理解していることに加え、本誌収載の複数の論文から、発生中のニューロンにおいてタンパク質の活性のスイッチをオン/オフできないことが、どのようにニューロン機能を変化させ得るかが明らかになっている。今週号でZhangらは、ニューロンの感受性を制御しているN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体という構成要素が関与する、ユビキチンを介したスイッチを明らかにした。著者らは、マウスの出生後の初期発生段階では、脊椎の感覚ニューロンに存在するNMDA受容体サブユニットGluN2Bの量が漸進的に制限され、成体期にはE3ユビキチンリガーゼCbl-bによって低い存在量に維持されることを見出した。しかし、末梢性炎症がCbl-bの脱リン酸化を誘導することでこの発生スイッチを元に戻し、これがGluN2Bとの相互作用を障害した。その結果生じるGluN2B存在量の増加がNMDA受容体の活性を亢進し、接触に対する動物の感受性を増強した。この機構を標的化する方法を特定することが、炎症性ニューロパチー患者の治療に役立つ可能性がある。またArchivesでは、WatanabeらとPisellaらが、社会行動および認知機能に関係する神経発生におけるKCC2チャネルの役割を解明している(ZamponiによるFocusも参照)。著者らは、リン酸化型を模倣した変異型KCC2を発現するノックインマウスモデルを用い、KCC2の2ヵ所のスレオニン部位の周生期の脱リン酸化が、神経伝達物質GABAに対するニューロン応答の興奮性-抑制性のスイッチに重要であることを見出した。このスイッチは認知機能、呼吸およびその他神経生理機能の重要な側面の根底にある神経回路を促進する。これらの所見は、ヒトにおいててんかん、統合失調症およびレット症候群を含む、KCC2(SLC12A5)に関連した病理の原因について、ヒントを提供すると考えられる。