CD8+ T細胞の初期化

Reprogramming CD8+ T cells

Editor's Choice

Sci. Signal. 26 Jan 2021:
Vol. 14, Issue 667, eabg7076
DOI: 10.1126/scisignal.abg7076

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: jfoley@aaas.org

V. Verma, N. Jafarzadeh, S. Boi, S. Kundu, Z. Jiang, Y. Fan, J. Lopez, R. Nandre, P. Zeng, F. Alolaqi, S. Ahmad, P.Gaur, S. T. Barry, V. E. Valge-Archer, P. D. Smith, J. Banchereau, M. Mkrtichyan, B. Youngblood, P. C. Rodriguez,S. Gupta, S. N. Khleif, MEK inhibition reprograms CD8+ T lymphocytes into memory stem cells with potent antitumor effects. Nat. Immunol. 22, 53-66 (2021).
Google Scholar

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33230330/ [PubMed]

MEK1/2をin vivoで阻害するとCD8+ T細胞の持続性と抗腫瘍活性が両方とも亢進される。

要約

養子T細胞移植療法(ACT)は、がん免疫療法として成功しているが、腫瘍微小環境(TME)の持続刺激のせいで、移植されたT細胞は消耗して抗腫瘍活性を失うことが多い。これまでの研究は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達カスケードの構成要素であるキナーゼMEK1/2を低分子阻害剤(MEKi)で阻害すると免疫療法の有効性が増強されることを示している。Vermaらは、マウス腫瘍モデルを用いた実験で、MEKiによって腫瘍浸潤性CD8+ T細胞の数が増加し、それらT細胞の消耗が抑制され、活性が亢進されることを明らかにした。MEKiで処理されたCD8+ T細胞では、脂肪酸に媒介される代謝が促進されたことによって、細胞周期の進行が遅れ、ミトコンドリアの新生と機能が亢進された。担がんマウスでは、MEKiによってTMEでのCD8+ T細胞の幹細胞様T(TSCM)細胞への分化が誘導された。中枢のメモリーT細胞サブセットおよびナイーブT細胞サブセットと比べて、これらTSCM細胞では、自己再生可能性が高まり、エフェクター応答に関連する遺伝子の発現が増加した。in vitroでは、MEKiで処理されたCD8+ T細胞で抗原刺激への想起応答が亢進され、エフェクター分子の産生が増加した。ACTのマウスモデルでは、MEKiで処置されたマウスの抗腫瘍応答と生存に改善がみられ、そのような改善はもっぱらTSCM細胞の存在に依存した。さらに、MEKiで処理された細胞では、MEKiで処理されていない細胞と比べて、より持続的なメモリー表現型が認められた。まとめると、これらのデータは、MEKi化合物で処理することによってCD8+ T細胞は初期化され、持続性と抗腫瘍活性が亢進された幹細胞様細胞を生成できることを示しており、より有効なACTを生み出す助けになる可能性がある。

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