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初期ストレスからうつ病への点つなぎ

Connect-the-DOT from early stress to depression

Editor's Choice

Science Signaling 13 Apr 2021:
Vol. 14, Issue 678, eabi9138
DOI: 10.1126/scisignal.abi9138

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

H. Kronman, A. Torres-Berrío, S. Sidoli, O. Issler, A. Godino, A. Ramakrishnan, P. Mews, C. K. Lardner, E. M. Parise, D. M. Walker, Y. Y. van der Zee, C. J. Browne, B. F. Boyce, R. Neve, B. A. Garcia, L. Shen, C. J. Peña, E. J. Nestler,

Long-term behavioral and cell-type-specific molecular effects of early life stress are mediated by H3K79me2 dynamics in medium spiny neurons. Nat. Neurosci. 10.1038/s41593-021-00814-8 (2021). Google Scholar

エピジェネティック酵素DOT1Lを標的とすることで若齢期ストレスによる行動上の影響から回復できるかもしれない

要約

人生の早い段階でのストレスは、成人期のうつ病やその他の精神的問題のリスクの高さと関連する。脳における持続的なエピジェネティックな変化が要因であると考えられている。Kronmanらは、特定の脳領域とそこでの特定のニューロン型における2つのエピジェネティック酵素(DOT1LとKDM2B)の発現の変化が、マウスの若齢期ストレスと後年のうつとの関連を媒介することを発見した。著者らは、離乳前に連日の母仔分離期間を経て、不適切な床敷で飼育された、若齢期ストレスのマウスモデルを用いた。その後、成体として、これらと対照マウスを、社会的敗北ストレスを誘発するために、より大きく、より攻撃的なマウスと一緒に置いた。対照マウスと比較して、仔としてストレスを受けたマウスは、うつ病のような行動を示し、側坐核(NAc)のD2ドーパミン受容体陽性中型有棘ニューロンでヒストンH3のLys79における選択的脱メチル化(H3K79me2と呼ばれるマーク)がより多く起きていた。さらなる解析により、これらのマウスではH3K79ジメチル化によりトランスクリプトームが変化し、さらに他のヒストン修飾と連携している可能性が明らかになった。NAcのこれらニューロンにおけるH3K79me2の出現率増加に関連して、ヒストンメチルトランスフェラーゼDOT1Lの存在量が増加し、デメチラーゼKDM2B(それぞれ、このヒストンマークのライターとイレーサー)の存在量が減少していた。D2型中型有棘ニューロンでDOT1Lを過剰発現させると、若齢期ストレスモデルの効果を模倣したのに対し、ノックダウンまたはDOT1Lの低分子阻害剤を全身送達すると(現在、白血病の一種に対して第II相試験中)、若年期ストレスによる行動への影響を覆した。これらの発見は、成人の行動に及ぼす幼少期ストレスの永続的なエピジェネティックな影響へのより深い洞察を明らかにし、それらを治療的に回復させるための潜在的な標的を提供する。

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