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グルコース代謝を強いられる
Forced into glucose metabolism
Science Signaling 25 May 2021:
Vol. 14, Issue 684, eabj5683
DOI: 10.1126/scisignal.abj5683
Wei Wong
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: wwong@aaas.org
A. M. Salvi, J. L. Bays, S. R. Mackin, R.-M. Mege, K. A. DeMali, Ankyrin G organizes membrane components to promote coupling of cell mechanics and glucose uptake. Nat. Cell Biol. 23, 457-466 (2021).
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GLUT1を介するグルコースの取り込みによって、機械的歪みに応答したアクチン細胞骨格の強化が可能になる。
要約
機械的歪みは、アクチン細胞骨格の再構築を誘導するが、これにはエネルギー的にコストがかかる。Salviらは、機械的歪みを栄養取り込みに結び付ける経路を明らかにした。MCF-10A乳がん細胞またはMDCK上皮細胞において、機械的歪みは、グルコーストランスポーターGLUT1を介するグルコース取り込みを誘導し、GLUT1の細胞間結合への局在化を増加させた。2次元または3次元培養したMDCK細胞において、GLUT1は細胞間結合タンパク質であるE-カドヘリンと結合した。細胞は力にさらされると、細胞硬化と呼ばれる過程においてアクチン細胞骨格を強化する。著者らは、MDCK細胞において、細胞間結合へのF-アクチンとE-カドヘリンの濃縮による評価を行い、細胞硬化の過程にGLUT1とグルコース代謝が必要であることを見出した。E-カドヘリンとの結合に加えて、GLUT1の細胞間結合への局在性増加には、非筋細胞ミオシンIIB、足場タンパク質アンキリンG、アンキリンGとE-カドヘリンの相互作用が必要であった。細胞間結合を一過性に破壊したMDCK細胞では、アンキリンGに結合できないE-カドヘリン変異体の発現によって、せん断応力に応答したバリア機能の再建と細胞硬化が減少した。このように、GLUT1の細胞間結合への動員によって、グルコース取り込みが確実に行われ、細胞が機械的歪みの作用に抵抗するための細胞硬化を下支えする。