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NK細胞が免疫シナプスを構築する際には広い領域のシグナルを統合するが、脱顆粒には局所刺激が必要
NK cells integrate signals over large areas when building immune synapses but require local stimuli for degranulations
Science Signaling 25 May 2021:
Vol. 14, Issue 684, eabe2740
DOI: 10.1126/scisignal.abe2740
Quentin Verron1, Elin Forslund2, Ludwig Brandt1, Mattias Leino1, Thomas W. Frisk1, Per E. Olofsson1, Björn Önfelt1,2*
- 1 Biophysics, Department of Applied Physics, Science for Life Laboratory, KTH Royal Institute of Technology, Stockholm, Sweden.
- 2 Microbiology, Tumor and Cell Biology, Science for Life Laboratory, Karolinska Institutet, Stockholm, Sweden.
* Corresponding author. Email: onfelt@kth.
要約
免疫シナプスとは、B細胞およびT細胞に対する抗原提示のため、さらには細胞傷害性T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞による標的認識のためのプラットフォームとして働く、大規模で一過性の分子集合体である。免疫シナプスの形成は、細胞骨格、細胞表面受容体および細胞内シグナル伝達タンパク質が再配列して超分子活性化クラスター(SMAC)を形成するという、厳密に制御された段階的プロセスである。われわれは、リガンドをマイクロコンタクトプリンティングすることにより、NK細胞活性化受容体であるLFA-1 およびCD16に対する合成ならびに天然リガンドにより構成される人工的免疫シナプス(AIS)のSMAC構造を円形に形成させた。この還元的システムに固定されたヒトNK細胞の生細胞イメージングおよび解析から、活性化リガンドの空間分布がNK細胞シナプスの形成、安定性および結果に影響することが明らかになった。LFA-1のみが結合した場合はシナプスの開始が促進されたが、完全なシナプスの形成および脱顆粒のためにはLFA-1とCD16の両方が結合する必要があった。LFA-1とCD16のリガンドをドーナツ状のAISに構成させたとき、ドット状のAISに構成させたときと比較して、形成された長時間持続性の対称性シナプスは少なかった。リガンドが均一に広がっている場合はいずれのAISの形状であっても、NK細胞の溶解装置は同様の配置を示していた。ただし、脱顆粒はリガンドを含む領域のみで生じ、それにより局所シグナル伝達を誘導していた。このことは、脱顆粒のための後期チェックポイントが存在することを示唆している。これらの結果は、シナプスにおけるリガンドの空間的構成がそのアウトカムに影響する可能性があること、そしてこれが逃避機構として標的細胞に利用される可能性があることを示している。
Citation: Q. Verron, E. Forslund, L. Brandt, M. Leino, T. W. Frisk, P. E. Olofsson, B. Önfelt, NK cells integrate signals over large areas when building immune synapses but require local stimuli for degranulation. Sci. Signal. 14, eabe2740 (2021).