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神経を失って取り乱すリンパ節

Lymph nodes lose their nerve

Editor's Choice

Science Signaling 15 Jun 2021:
Vol. 14, Issue 687, eabj9379
DOI: 10.1126/scisignal.abj9379

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Mail: jfoley@aaas.org

C.-S. Chen, J. Weber, S. J. Holtkamp, L. M. Ince, A. de Juan, C. Wang, L. Lutes, C. Barnoud, B. Kizil, S. M. Hergenhan, J. Salvermoser, M. Lasch, E. Deindl, B. Schraml, D. Baumjohann, C. Scheiermann, Loss of direct adrenergic innervation after peripheral nerve injury causes lymph node expansion through IFN-γ. J. Exp. Med. 218, e20202377 (2021).
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https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34086056/ [PubMed]
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膝窩リンパ節の坐骨神経支配が失われるとIFN-γに依存したリンパ節腫脹が引き起こされる

要約

末梢神経の損傷は、運動機能障害の原因にもなるが、免疫細胞の浸潤と炎症を引き起こすことで、神経の再生と回復を可能にする。リンパ節は感覚神経と交感神経によって支配されており、神経損傷を有する患者は免疫反応の機能障害を呈することもある。Chenらは、マウス臀部の坐骨神経を外科的に切除することによって末梢神経損傷マウスモデルを作製し、このマウスの膝下に位置する膝窩リンパ節(popLN)を調べた。この外科処置はリンパ球数の増加によるpopLNの腫脹を引き起こし、こうした作用は、フェノールで処置することにより坐骨神経の機能を遮断したマウスでも再現された。外科的に誘導されたpopLNの細胞数の増加は、血液からのリンパ球の動員と、CD8+ T細胞によって産生されるサイトカインであるインターフェロンγ(IFN-γ)によるシグナル伝達に依存した。坐骨神経束は、感覚神経細胞、交感神経細胞、および運動神経細胞で構成される。蛍光免疫染色により、感覚神経線維と交感神経線維によるpopLNの直接的な神経支配が明らかにされた。除神経マウスをβ2-アドレナリン受容体(β2AR)アゴニスト(かつ交感神経アゴニスト)であるクレンブテロールで処置するとpopLNの腫脹は阻止されたが、感覚神経アゴニストで処置してもそのような作用は認められなかった。クレンブテロールは除神経マウスのpopLN内のIFN-γ産生CD8+ T細胞数を減少させたが、こうした作用はβ2AR欠損マウスでは失われた。まとめると、これらのデータは、末梢神経の損傷と交感神経緊張の喪失によって、IFN-γに依存する形でリンパ節の腫脹が引き起こされることを示している。

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2021年6月15日号

Editor's Choice

神経を失って取り乱すリンパ節

Research Article

Tim-3の共刺激活性にはAktおよびMAPKシグナル伝達とTim-3の免疫シナプスへの動員が必要である

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